捕獲、養殖したウニの質は? 南島原市と漁協が磯焼け対策 道の駅で料理も提供 長崎

養殖ウニの殻むき作業に励む加工業者の職員=南島原市南有馬町、島原種苗

 長崎県南島原市と島原半島南部漁協が磯焼け対策として、海藻を食べるウニを捕獲して養殖する実証実験に取り組んでいる。餌や蓄養場所を工夫して身入りをよくし、商品化を図る。
 市水産課によると、磯焼け対策とウニ養殖の一石二鳥を狙った事業で2年目。3月から5月にかけて、近海で捕獲したウニをカゴの中で蓄養。週2、3回餌やりをしている。餌は養殖ワカメの切れ端や、飲食店から出る使用済みの昆布のほか、ブロッコリーの葉など。餌代を節約できると同時に、廃棄コストも削減できるという。
 今年は1400個を育てており、15日には身入りの確認作業があった。同市南有馬町の民間事業者の加工場に1060個(約50キロ)を持ち込み、殻むき作業と試食をした。重さに占める身の割合は、商品化が可能な6、7%を上回り、8%超まで増えた。
 同課の石橋貴光参事は「瓶詰(70グラム)にはウニ30個が必要なため、商品化にはまだまだハードルは高いが、良好な身入りだった」と笑顔を見せた。
 市内の漁業従事者(正組合員数)は2008年に350人だったが少子高齢化や過疎化などを背景に、22年は239人に減少。担い手不足が深刻化している。漁協関係者は「ウニの蓄養が漁業者の収益になれば」と期待を寄せていた。
 実証実験のウニを使った料理が今月25、26日に道の駅「ひまわり」(同市深江町)のレストランで提供される予定。石橋参事は「販路拡大できるようプロの料理人やお客さまから貴重な知見を得たい」と意気込んでいた。

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