サトウキビが危ない…奄美地域で「黒穂病」発生 有効な農薬なし、見つけ次第「抜き取って」

黒穂病の発病株(鹿児島県病害虫防除所提供)

 鹿児島県病害虫防除所は21日、奄美地域を中心に一部のサトウキビ畑で黒穂病が発生し、被害拡大が懸念されるとして、病害虫発生予察注意報を出した。防除所の担当者は「初期段階で対策すれば被害を抑えられる」と話し、発病株を見つけ次第、手順に沿って抜き取るよう呼びかける。

 黒穂病の発病株は茎が細くなり、先端に黒いむち状のものを形成する。生育に異常が生じ、製糖原料としての品質が低下する。病原菌の胞子は風や雨水で拡散するため、発病株を放置すると被害が拡大しやすい。

 防除所によると、黒穂病に有効な農薬などはなく、防止策として発病株を見つけたら胞子の飛散を防ぐためビニール袋をかぶせて、抜き取ることを挙げる。病気に強い品種への切り替えや来歴の明らかな苗の使用も有効という。

 防除所によると、12日に知名町で発生が確認された。14~17日の調査では発生率は約3.5%で、和泊町でも確認された。沖永良部島外の調査では、奄美大島0.7%、喜界島22%、徳之島1.5%。種子島と与論島では確認されなかった。今後も月1回調査し経過を観察する。

 黒穂病への発出は1975年の警報以来。防除所は「例年より降雨が多く気温が高かったため、病原菌が繁殖しやすかったのでは」と推測している。

黒穂病菌の胞子(鹿児島県病害虫防除所提供)

© 株式会社南日本新聞社