福島県内、景気判断据え置き 日銀支店、4カ月連続「持ち直し」

 日銀福島支店は21日発表した5月分の県金融経済概況で、県内景気の総括判断を4カ月連続で「一部に弱めの動きが見られるものの、緩やかに持ち直している」とし、判断を据え置いた。

 個人消費では、3月の主要小売業販売額は2.2%に落ち込んだ。暖冬から一転して気温が低下したことに伴い、暖房用品や温かい食品は売り上げを伸ばしたが春物衣料などの出だしが低調だった。

 新型コロナウイルスが5類に移行して初の大型連休は好天に恵まれ、アイスや清涼飲料水などの売り上げが好調だった。一方で、入り込み客数が昨年を下回った施設も多く見られた。花見や歓送迎会の需要は堅調だが、規模縮小などで新型コロナ禍以前の水準を回復できていない。

 本年度の設備投資は、コロナ禍で見送られた製造業の能力増強や小売店の新規出店などで昨年度を上回る見通し。3月の福島市の消費者物価指数(生鮮食品を除く)は2.8%で、値上げのペースは鈍化傾向にある。輸入物価の上昇を価格転嫁する動きは一巡し、今後もプラス幅は縮小していくと予想される。

 福島支店で記者会見した中嶋基晴支店長は、円安による県内企業への影響について「輸入側の中小企業が多く、コストに響く影響は大きい。販売価格に全て転嫁できていないため、利益を圧迫する要因として懸念される」との見解を示した。

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