なんと5kgも増量!? 長澤まさみに松雪泰子も…実写化作品でキャラになりきるため女優たちが見せた渾身の役作り方法

©原泰久/集英社 ©2023映画「キングダム」製作委員会

人気漫画作品の実写化ではキャラクターの“再現度”の高さも重要な要素の一つだが、数々の女優たちが渾身の役作りによって、“二次元”の女性キャラクターたちを見事に演じ切っている。そこで、実写化作品で女優たちが見せた、ストイックすぎる役作りエピソードについて見ていこう。

■戦うための肉体を目指して欠かさず続けた素振り100本…『キングダム』長澤まさみ

2006年より『週刊ヤングジャンプ』(集英社)にて連載が開始された原泰久さんの『キングダム』は、古代中国の春秋戦国時代末期を舞台に、のちに“天下統一”をはたす始皇帝と彼を支えた武将・李信の戦いを描くバトル漫画だ。

本作はその高い人気から2019年から実写映画化シリーズがはじまったが、本作においてストイックなエピソードを披露したのが、“山界の死王”と恐れられる女傑・楊端和を演じた長澤まさみさんである。

楊端和は女性でありながら山民族の王の座につく重要人物で、美しい見た目のみならず、ほかを寄せ付けない圧倒的な“武力”も魅力の一つだ。

そんな楊端和を演じるにあたり、長澤さんは彼女が持つ“絶対的な強さ”を意識し、役作りに励んだ。長澤さん曰く、普段は逃げ腰な部分があるということなのだが、楊端和となって作中で戦うことを想定し、“毎日100回の素振り”を実際におこなうことで戦いのための動きや筋肉を鍛え続けた。

しかも漠然と素振りをするのではなく、ベッドに当たらないように“寸止め”の形を取ることで、剣をコントロールするための繊細な力加減をも同時に身につけたのだという。

この日々のトレーニングによって、普段の生活ではなかなか使用しない戦いのための筋肉を鍛え上げた長澤さんは、作中でも剣に振り回されないキレのあるアクションを披露した。

数々の作品に参加してきた長澤さんにとっても本作の撮影はとにかく過酷だったようだが、この鍛錬の成果もあり、凛とした美しさと強さを兼ね備えた女戦士・楊端和を見事再現し、作品を彩っていた。

作中で圧倒的な強さを披露する“山界の死王”の姿、ぜひご自身の目で確かめてみてほしい。

■裸体にひるまず挑んだまさに体当たりの役作り…『GANTZ』夏菜

2000年より『週刊ヤングジャンプ』(集英社)で連載された奥浩哉さんの『GANTZ』は、とあるマンションの一室に召喚された死者たちが正体不明の“星人”を相手に生き残りを賭けて戦うSFバトル作品だ。

現実の裏側でおこなわれる超常的な戦いや瞬く間に命が奪われていく不条理な展開など、緊張感溢れるストーリーは多くのファンを魅了し、2011年には前後編に分かれた実写映画が公開された。

主人公の高校生・玄野計を始め、原作でもおなじみのキャラクターたちを豪華俳優陣が演じているのだが、なかでも体当たりの演技が話題を呼んだのが岸本恵役を演じた夏菜さんだ。

岸本恵は自死したことをきっかけに召喚されるのだが、その影響からなんと全裸でマンションの一室に現れることとなってしまう。カメラワークで巧みに隠しながら撮影はされているものの、夏菜さんの一糸まとわぬ姿に驚いてしまった視聴者も多いのではないだろうか。

かなりハードなシーンではあったものの、夏菜さんは自身の肉体が少しでも自然に映るよう、さまざまな点を工夫している。

たとえば、当時はまだまだ医療脱毛が主流ではなかった時代だったため、なんと夏奈さんは母親の力を借り、全身の毛を剃りあげることでスクリーン映えする美しい裸体をキープしたという。

また、下着の跡が不自然に見えないよう、撮影の数日前から下着を身につけずに過ごすなど、数分間のシーンのために日々絶え間ない努力を続けていたそうだ。

日常の生活スタイルすら変えて挑んだ、まさに体当たりな役作りエピソードだ。

■徹底した肉体づくりで見せつけた女優魂…『鋼の錬金術師』松雪泰子

2001年より『月刊少年ガンガン』(スクウェア・エニックス)で連載された荒川弘さんの『鋼の錬金術師』は、“錬金術”の存在する世界を舞台としたダーク・ファンタジー作品だ。

“鋼の錬金術師”として活躍するエドワードと、肉体を失い鎧として生きる弟・アルフォンスを主人公に、軍事国家アメストリスの裏側で蠢く巨悪の陰謀、苛烈な戦いを描いた本作。

全世界シリーズ累計発行部数が8000万部を突破した人気作品で、アニメ化はもちろん、2017年には実写映画が公開されている。

実写映画では漫画にも登場する強敵・“ホムンクルス”たちとの激戦が描かれているのだが、ホムンクルスの紅一点として活躍するラストを演じたのが、女優の松雪泰子さんだ。

ラストといえばウェーブのかかった長い黒髪や抜群のプロポーション、胸元の空いたセクシーな衣装が特徴的な女性なのだが、松雪さんは原作を読み込んでラストのキャラクター像を徹底研究し、撮影に臨んだ。

性格やセリフ回しはもちろんのこと、松雪さんはあえて体重を5kgも増量し、自身の肉感を増すことで体型までもラストに近付けている。なかでもラストの特徴である豊満な“胸”をより強調するため、松雪さんは過酷なトレーニングを敢行。上半身の肉付きを強化し、より完璧な“ラスト像”に自身を近付けていた。

本来、松雪さんといえば華奢なイメージがあるが、徹底的な役作りで挑んだその姿はまさにラストそのもの。あまりにもストイックな役作りによって、再現不可能とも考えられた二次元のプロポーションを見事に実現してみせた女優である。

肉体強化や鍛錬、日々のちょっとした習慣など、女優たちの役作りに賭ける熱量溢れるエピソードの数々には思わず度肝を抜かれてしまう。渾身の役作りによって三次元で表現されたキャラクターたちの姿はまさに必見だ。

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