NZ中銀、政策金利5.5%に据え置き 利下げ開始予想後ずれ

Lucy Craymer

[ウェリントン 22日 ロイター] - ニュージーランド(NZ)準備銀行(中央銀行)は22日、政策金利のオフィシャル・キャッシュ・レート(OCR)を15年ぶりの高水準である5.5%に7会合連続で据え置いた。ただ、インフレ圧力がなお続いているとして、金利のピーク予想を引き上げ、利下げ開始時期を2025年第3・四半期に延期した。

ロイター調査ではエコノミスト30人全員が据え置きを予想していたが、一部ではタカ派的な姿勢を和らげるとの見方もあった。

声明は「消費者物価指数(CPI)の前年比上昇率は理事会の目標である1─3%を上回っており、国内サービスインフレも続いている」とし、「理事会はインフレ率が合理的な期間内に目標に戻ることを確実にするため、制約的な金融政策を維持することが必要との認識で一致した」と述べた。

<利上げも検討>

オア中銀総裁は今回の会合で利上げを「真剣に検討」したが、より長期間引き締め政策を維持すればインフレ率を目標に戻すのに十分と判断したと説明した。

第1・四半期の消費者物価指数(CPI)は前年同期比4.0%上昇した。非貿易財のインフレ率は5.8%の上昇だった。

オア氏は記者団に、インフレ率が予想以上に上昇する余地は限られるとの見方を示した。金融政策が引き締め的なため、インフレ目標の達成には「自信がある」と述べた。達成までの期間については言及を控えた。

タカ派的な見解が示されたことを受けNZドル/米ドルは0.9%上昇し、0.6152米ドルと2カ月ぶりの高値を付けた。対日本円では17年ぶりの高値を記録した。

先物市場では、8月までに利下げが行われる可能性が中銀の発表前の44%から26%に低下し、10月の利下げの可能性は76%から52%に低下した。

中銀はキャッシュレートのピーク予想を5.6%から5.7%に引き上げた。利下げ開始時期は、25年第2・四半期から同年第3・四半期に後ずれさせた。

ASBのチーフエコノミスト、ニック・タフリー氏は声明は予想よりもタカ派的だったと述べた。サービス部門のインフレにかなり大きな懸念を表明し、インフレの一部の側面は金利にそれほど敏感ではないとの認識も示したと指摘した。

「中銀は25年2月から利下げを開始するとの見方を維持しているが、リスクはそれ以降にある」との見方を示した。

中銀は生産能力に関する圧力の弱まりと労働市場の需給緩和で、国内インフレ率は低下しているものの、金利の影響をさほど受けない分野がインフレ鈍化の歯止めになっていると分析。「国内インフレの緩やかな低下はインフレ期待にリスクをもたらす」と指摘した。

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