“ゲームボーイ”と呼ばれる機械による自動車盗 瞬時に合鍵を作成 愛車を守る有効な手段とは

東海3県では、自動車盗が相次いでいます。今後、脅威となりうる、新たな犯行手口も。

わずか2分足らず…あっという間の犯行

5月10日、午前1時過ぎ。滋賀県甲賀市で撮影された防犯カメラの映像。 駐車場に止まっている白い車に忍び寄る2人組の姿。身をかがめて車に近づくと、1人が車の下に潜り込みます。 しばらくすると、テールランプが点灯。電源を入れ、ドアも解除したのでしょうか…。 2人組は、急ぎドアを開け乗り込み、車を奪い去っていきました。 その間、わずか2分足らず。あっという間の犯行でした。 「びっくりして頭が真っ白になった。こんな田舎の奥まったところにある団地まで盗みに来るとは思わなかった」(被害者) 盗まれたのは、5年ほど前に約700万円で購入したトヨタの人気車種「ランドクルーザープラド」。ローンもまだ残っているといいます。 「なかなか高い車だし、大事に乗っていきたかったので、腹がたちますよね。人が苦労して頑張って働いて買った車を金にするために盗んで、最悪な人間だと思う」(被害者)

東海3県でも相次ぐ自動車盗難

自動車盗難は、東海3県でも相次いでいて、中でも愛知県は、おととし、884件あり、全国ワースト1位。去年は、減ったものの698件で、全国ワースト2位でした。 では、大切な車を守るためのセキィリティ対策をどうしているのか。 ウルフィアプリで実施したアンケートには約9000件の回答があり自動車盗の対策をしていると回答したのは約2割に留まりました。

自動車盗難の様々な犯行手口

犯行手口として、車の電子回路に直接侵入して、鍵がなくてもドアロックを解除し、エンジンを起動させてしまう「CANインベーダー」。 車に鍵を近づけると、自動でロックが解除される仕組みを悪用し、玄関先などに置いてある車の鍵から出る電波を、特殊な装置で増幅。車の近くに鍵があると誤認させて、ロックを解除する「リレーアタック」などがあります。

合鍵のデータを複製する“ゲームボーイ”

さらに、新たな犯行手口が、海外で目立ち始めているといいます。 「ゲームボーイと言って鍵を複製するような手口になる」(カーセキュリティネットワーク 吉田泰啓事務局長) “ゲームボーイ”。防犯技術の向上のため窃盗団の手口を研究するカーセキュリティネットワークの事務局長・吉田泰啓さん。 人気ゲーム機に形が似ていることからこう呼ばれる機械。実際、どのような手口で、車を盗むのか。使用した様子を撮影した動画を解説してもらうと―― 「車のコンピューターから信号を受信してその車に合うように合鍵のデータを作る。ドアノブを引くことによって車をスリープモードからアクティブにして車からの信号を取って同期させている状態」(吉田さん) “ゲームボーイ”は、ドアを開けようとした際などに発せられる微弱の電波をつかんで瞬時に合鍵をつくってしまうといいます。 ドアノブを数回引き、端末を操作すると―なんと車のドアが開き、エンジンまでかかってしまいました。 「短いもので4分、長くても30分で(盗まれてしまう)」(吉田さん) 海外のサイトで、1台300万円から500万円ほどで販売されていて、入手もそれほど難しくないといいます。

愛車を守るカーセキュリティ

では、愛車を守るには、どのような手段が有効なのでしょうか。 「ショックセンサーですね。ピーと鳴る。弱い衝撃ですとこんな音が鳴ります。強い衝撃だとフルでサイレンが鳴ります」(吉田さん) この車に取り付けているのは「クリフォード」と呼ばれるカーセキュリティ。 異常な衝撃や、傾きなどを検知するセンサーがついていて、警報を鳴らすことで、窃盗犯を威嚇します。 「ドアを開けても警報が鳴りますし、エンジンもかからないし、エンジンをかけようとしても鳴りますし、ボンネットを開けようとしても鳴ります」(吉田さん) 警報を解除しエンジンをかけるには、専用のリモコンを使う必要があり、仮に、車のドアを開けられたとしても、エンジンをかけることはできません。 「エンジンをかけようとしても全然メーターもつかず、かからない状態ですね。大きい音が鳴りますので、なかなかこの状態で窃盗を続けるのも難しいと思います」(吉田さん) また、簡単に手が届かない車の内部に搭載することで、窃盗団に狙われた際、配線を切って、無理やりセキュリティを解除することも難しいため、防犯性が高いといいます。 こちらの店舗での「クリフォード」の設置費用は、約20万円からで、センサーの設置などオプションをすべて搭載すると50万円ほどだといいます。 手口が巧妙化する自動車盗。愛車を守るために、あの手この手で対策する必要があります。

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