【家入レオインタビュー】「“ずっと歌い続けたいです”って簡単には言えなくて」音楽と真摯に向き合う家入レオの今

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「今、本気で音楽に向き合ってるんです」

インタビュー中、彼女は何度もそう口にした。

ここ数年、楽曲制作やライブのたびに自分の “歌う意味”を追求し、心の根底から湧き出るメロディと言葉を紡いできた家入レオ。このたびリリースする松本まりか主演のドラマ「ミス・ターゲット」の主題歌「ワルツ」も、ドラマで描かれる真のテーマや出演者の思いをなぞりながら、自身のリアルな恋愛観を投影した逸曲となった。

実力と活動歴を持っていながら、こうも音楽をやることの喜びと責任の間で揺れながら歌い続けているアーティストがほかにいるだろうか。でも、家入レオは、その揺れとともに歌を研ぎ澄ましてきたのだ。早くも代表曲の仲間入りを予感させる今作はもちろん、秋に予定されているツアーでも、音楽に対して妥協も油断も許さない彼女が放つ圧倒的なエネルギーを感じさせてくれるだろう。

家入レオ - 「ワルツ」(Music Video)

──ニューシングル「ワルツ」はドラマ「ミス・ターゲット」の主題歌ということで、ドラマの内容に沿うように詞曲を作っていったそうですね。

はい。ドラマの主題歌を歌わせていただくのも「空と青」ぶりだから3年ぶりですし、自分にとってもずっと配信が続いていて、CDシングルリリースは久しぶりなので、絶対にいいものを届けたいという気持ちがいつも以上にあったんです。主演の松本まりかさんもお芝居をはじめて24年で初めて地上波全国ネット連続ドラマの主演ということで、並々ならぬ熱意を持っていらして。ドラマの制作サイド含め、それぞれが強い想いを持って挑むこの「ミス・ターゲット」というドラマに音楽で参加させていただけて、すごくうれしかったです。

──「ミス・ターゲット」はコメディ寄りなのかと思いきや、1話から悲しい結末になることがわかる作りになっていて、楽曲との相性もピッタリでした。結婚詐欺師の本気の恋愛というのも難しいテーマだったんじゃないですか?

そうなんです。主人公のすみれさんは結婚詐欺で、思わせぶりなことを平気で言う人なんですけど、好きになった男性にはそれが通じないんです。本当の恋を知ったすみれさんがこれからどうなっていくのかというストーリーなんですけど…百戦錬磨の結婚詐欺師が傷つくというのが、すごく尊いことだなと思ったんです。気持ちがないから思わせぶりなことも言えるし、その相手がどこかへ消えても、もともと自分の世界に存在していないから、気にもならない、傷つかない。でも人を好きになると、相手のことを気にかけるし、ちゃんと傷つくんですよね。つまり、傷つくとか不安になるって悪いことのように思えるけど、イコールすごく相手のことを大切に思ってるからで。そういうピュアな恋心を歌にできたらいいなと思いました。

──そして今回の歌詞では、「終わっていく恋」の痛みと引き換えに「残っていく愛」が描かれています。でも、好きだった気持ちは形を変えていくから、その当時の気持ちを綴るのって時間が経てば経つほど難しいことだと思うんですよね。今回の歌詞は、レオちゃんにとってすごくフレッシュな感覚なのかなと思うくらいリアルでした。

面白いことに、別のインタビュアーの方には「失恋した直後だと気持ちの整理がつかないから時間が経ってから書いた曲ですか?」って聞かれて。本当、聴く人それぞれの解釈があるんだなあって今思いました(笑)。私にとって作詞や作曲は……いわばセラピーなんですよね。自分の胸に渦巻いてる悲しさや苦しさとかの感情を、言葉にできないけどメロディにする。で、たぶんこのメロディは私のこういう気持ちを呼んでいたんだなって、歌詞を書いていく。だから一曲できあがったときに、「私はこんなふうに感じてたんだ」って答え合わせをするようなところがけっこうあるんです。今回も「ミス・ターゲット」をきかっけに、自分の恋愛観だったり失ったものについて考える機会をもらった感じなんですよね。こんなに純粋に失恋ソングを書いたのは初めてだと思います。

──頭の中の記憶よりも、心に残っていた感情がメロディとなって出た?

そうなんです。歌詞に「ひとり踊ってるワルツ」ってフレーズがあるんですけど、この曲を作るときに、最初は男女ふたりでワルツを踊ってたのに、最後には女性がひとりで踊ってるみたいなイメージがずっとあって。曲調はワルツじゃないんですけど(笑)。自分ばっかりが恋に縛られていて前に進めていない、それってすごく苦しいことじゃないですか? 今までの私ならそういうときに「出会わなきゃよかったな」と思うことのほうが多かったんですけど、時間薬しか効かないのに「やっぱりこの人に出会えてよかった」と思えるようになったし、恋は終わるけど愛は続けてていいんだなってやさしい気持ちになれたんです。それはプライドとか全部投げ捨てて人を好きになった結果、相手だけじゃなく自分のことも抱きしめてあげられたってことだと思うし。その感覚が鮮明に残っていたんです。

──とてもせつない詞曲に、どこか晴れやかな歌声というのも印象的でした。

レコーディングでもすごい悲しい気持ちで歌うテイクと、楽しい気持ちで歌ったテイクを録ってみたら、圧倒的に後者のテイクの方が伝わるな、と。笑顔で歌うこの曲のほうが絶対に悲しい!って。ただ悲しいじゃなくて、出会えた歓びも混じる奥ゆかしさみたいなものも滲ませられたかなって思います。

──アルバム「NAKED」に収録された失恋ソング「君に未練はないけど恋に未練がある」から、一歩先に進めたラブソングという感じですね。

ああ、そうかも! 最初からこの「ワルツ」じゃなかったというあたりが私らしいなという気がしますね。「先に幸せにならないでね」と言っていた曲を経て、ひとりでワルツを踊れる今回の曲になってる。もし一年前にこの「ワルツ」を書いていたら、ひとりで踊ったりしないですね。「あなたが踊って? 私ここで見てるから」って(笑)。

──10月にはライブツアーもあります。どんなツアーにしたいと考えてますか?

今、めちゃめちゃ曲を作ってるので、さらに新しい曲もお届けできたらいいなと思ってます。

──すごく集中力が高まってる?

そうですね。なんというか…「ずっと歌い続けたいです」って簡単に言えなくて、今。そのくらい毎日、楽しさと苦しさを共存させながら生きてる感じなんです。これがスポーツ選手の方だったら身体的にもリミットがあって、そこまで頑張るためにものすごくトレーニングをされてると思うんですけど、歌とかお芝居ってある意味終わりがない。今やってることを50年60年やれたら幸せだけど、私の場合は本気だからこそ、まず今の音楽を大事に届けていことだけに集中したいというか。一曲ずつ、ライブ1本ずつに全身全霊を注いでいきたいなと思うんです。ツアーもぜひ楽しみにしていてほしいですね。

Text:川上きくえ Photo:吉田圭子

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<リリース情報>
家入レオ ニューシングル『ワルツ』

5月22日(水) リリース

【CD収録内容】※全形態共通
1. ワルツ
2. 愛をあげる
3. ワルツ(Instrumental)
4. 愛をあげる(Instrumental)

●完全生産限定盤(CD+DVD):4,400円(税込)

家入レオ『ワルツ』完全生産限定盤ジャケット

●初回限定盤(CD+DVD):2,200円(税込)

家入レオ『ワルツ』初回限定盤ジャケット

●通常盤(CD):1,400円(税込)

家入レオ『ワルツ』通常盤ジャケット

<ツアー情報>
『家入レオ TOUR 2024』

10月12日(土) 埼玉・三郷市文化会館
10月17日(木) 大阪・オリックス劇場
10月19日(土) 香川・サンポートホール高松 大ホール
10月26日(土) 静岡・静岡市民文化会館 中ホール
11月4日(月・振) 愛知・愛知県芸術劇場 大ホール
11月7日(木) 北海道・札幌市教育文化会館
11月15日(金) 岡山・倉敷市芸文館
11月16日(土) 山口・シンフォニア岩国 コンサートホール(山口県民文化ホールいわくに)
11月24日(日) 宮城・トークネットホール仙台(仙台市民会館)
12月1日(日) 福岡・福岡サンパレス ホテル&ホール
12月12日(木) 東京・LINE CUBE SHIBUYA
12月13日(金) 東京・LINE CUBE SHIBUYA

【チケット情報】
全席指定:7,900円
https://w.pia.jp/t/ieirileo-tour24/

公式サイト:
https://leo-ieiri.com

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