「デジボク地球防衛軍2」先行プレイレポート――2種のアビリティでブラザーがより個性的に!初心者からシリーズファンまで幅広く楽しめるスピンオフ作品

ディースリー・パブリッシャーから2024年5月23日に発売される、PS5/PS4/Nintendo Switch用ソフト「四角い地球に再びシカク現る!? デジボク地球防衛軍2 EARTH DEFENSE FORCE: WORLD BROTHERS」(以下、「デジボク2」)の先行プレイレポートをお届けする。

地球を守るEDFの一員となり、地球を狙う侵略者たちを撃退する「地球防衛軍」シリーズ。今回発売される「デジボク2」は、そのスピンオフタイトルとして2020年12月24日にPS4/Nintendo Switch向けに発売された「ま〜るい地球が四角くなった!? デジボク地球防衛軍 EARTH DEFENSE FORCE: WORLD BROTHERS(以下、「デジボク1」)の続編にあたるタイトルだ。

ボクセル調の可愛らしいグラフィックや、歴代EDFに登場した様々な兵科が集結する「デジボク1」の特徴はそのまま引き継ぎつつ、続編らしい正統派のパワーアップを遂げている。ここでは、ゲームの特徴と前作との違いを中心としたレビューをお届けしていく。

■4人のブラザーを切り替えながら臨機応変に戦う楽しさ

本作は、時間軸的には前作「デジボク1」のその後のストーリーが描かれている。歴代EDFの侵略者をすべて率いた「ダークレジオン」と呼ばれる存在に、地球がバラバラにされてしまう。プレイヤーはEDFの部隊を指揮するコマンダーとなってダークレジオンに戦いを挑み、見事地球を修復することに成功した。

そこから「デジボク2」では、ダークレジオンに代わる新たな敵「ガイアーク」が登場し、再度地球はバラバラにされてしまう。プレイヤーはEDF新たに設立された「第7師団」の指揮官となって、各地のEDF隊員を集めながら、再び侵略者に立ち向かうことになる……というのが「デジボク2」のストーリーの主な流れだ。

一応は前作の続きという位置づけにはなっているものの、最初に加入するEDFの新人隊員のミナトススム、記憶喪失の勝ち気な少女・ネオンを始め、ストーリーに絡むメインキャラは一新されており、非常にシンプルかつ分かりやすい内容にもなっているので、いきなり本作からスタートしてもまったく問題ない。

地球がバラバラになっていることを考えると、歴代の「地球防衛軍」シリーズの中でも相当ヤバい状況にまで追い込まれてはいるのだが、本作のストーリーのノリは全体的に明るくコミカル。落ちこぼれ部隊のような位置づけでもある第7師団は、本部から存在を忘れかけられていたり、ナンバリングタイトルとは違う、いい意味での馬鹿馬鹿しさに溢れたゆるいストーリーが展開される。

基本的なゲームシステムも「デジボク1」と同様に、仲間になったブラザー(EDF隊員)の中から4人を選んでチームを結成し、さまざまなミッションに挑んでいく方式で、操作するブラザーはミッション中にいつでも切り替えられる。各ナンバリングタイトルでは、操作キャラクターはミッション中に複数の武器を切り替えながら戦うことができた。「デジボク」シリーズでは、この武器の切り替えは行えなくなっている代わりに、ブラザーをチェンジでミッション中の様々な状況に対応していける仕組みとなっている。

各ミッション中に倒れているブラザーを救助することでチームに加入させられる。

バトル中にアーマーが0になってしまった場合も、他のブラザーが生き残っていれば操作を切り替えて倒れたブラザーを復活させられるので、即ゲームオーバーになるようなことがないのも、ナンバリングの「地球防衛軍」シリーズよりもとっつきやすい点。

さらに「デジボク2」では自分のチーム以外にもNPC部隊が一緒に戦ってくれる。そのNPCの一人であるネオンが生きていれば、操作キャラクターが倒された時、すぐに蘇生を行ってくれる。ただしNPCにも体力が設定されており、ネオンも気づいたらやられていることも多いので、いざという時に助けてもらうためにも、NPCの体力に気を使うのも重要。倒れたNPCはチームのブラザーと同様に蘇生することもできる。

武器のリロード中やアビリティのクールタイム中にブラザーをチェンジしておくと、非操作状態でもゲージが進むようになっているのも「デジボク」の面白いところ。次々とキャラクターを切り替えながら戦えば、リロードやクールタイムを気にせずに強力なアクションを多用できる。

4人のブラザーは当然異なる武器を持てるので、ナンバリング本編で選びにくい「汎用性は低いけど特定の敵や状況にはめっぽう強い」武器や、「強力だけどリロード時間が長い」武器を積極的に持っていけるのも嬉しいポイントで、自然といろんな武器を試しながらミッションを進めたくなるのが、本作でも変わらない「デジボク」シリーズの面白さだ。

■アビリティが2つになったことで、ブラザーの使い勝手が全体的に向上

「デジボク1」からもっとも大きな変更点と言えるのが、各ブラザーが持つアビリティが「ムーブアビリティ」「サポートアビリティ」の2種類に増加したことだ。

「デジボク1」ではレンジャー系の兵科のアビリティは緊急回避、ペイルウイング系なら飛行と、せっかく歴代シリーズの兵科が集合しているにも関わらず、似たアビリティばかりになっていた。

「デジボク2」では、その点が大きく改善され、同じレンジャー系でも「レンジャー6」は周囲の味方を回復するエリアルリーパーサー、「陸戦兵3」は周囲一帯のダメージを軽減するミニッツシールドといったように、各タイトルの兵科ごとに違うサポートアビリティが使えるようになった。サポートアビリティに関してはかなり性能が千差万別で、攻撃系から回復、自己バフなどブラザーの個性が際立つものとして設定されている。

一方の「ムーブアビリティ」は、移動や回避時に用いるアクションで、緊急回避や飛行、ワイヤー移動にスピンジャンプなど、「デジボク1」にもあったアビリティの多くがこちらに振り分けられている。

「デジボク1」でこの移動系のアビリティをもたないブラザーは回避手段に乏しく、使いこなすのがなかなか難しいという印象だったが、ほぼ全ブラザーが何かしらの移動・回避手段が使えるようになったことで、総じてストレスなく操作できるようになった。地面の中を泳いで敵をすり抜けたり、ワイヤーを地面や敵に撃ち込んで高速移動したりと、ナンバリング作品にはないユニークな移動・回避アクションが用意されているのが非常に楽しい。

プロールライダーはムーブアビリティのワイヤー移動で近づき、ブレードで近接攻撃をする、立体機動装置的なアクションができてかなり楽しい。

非操作状態でもクールタイムが進む仕様と合わさって、アビリティを使った直後にキャラクターを切り替えていけば、常にムーブアビリティで移動することも可能。空中でもブラザーは交代できるので、ウイングダイバーで飛行エネルギーが尽きそうになったら、ペイルウイングに交代してさらに飛行を続けたり、飛行アビリティ持ちで建物の上に移動した後、陸戦兵に切り替えてライサンダーで狙撃したりと、「デジボク」シリーズならではの立ち回りができる。

ゲージが溜まると切り札である「スペシャル」も発動でき、ブラザーごとに個性的な技が設定されている。

さらに「デジボク2」からの変更点として、ほとんどのブラザーが、何かしらの遠距離攻撃を使えるようになったのも嬉しいポイント。「デジボク1」では、近接攻撃系のブラザーは遠距離攻撃手段がなく、上級者向けという印象だったが、本作では剣を使うブラザーも斬撃を飛ばす遠距離攻撃を、剣を振る近接攻撃と別に使えるようになった。

中には、格闘系と思わせて驚くほど強い遠距離武器をもっているブラザーもおり、個人的に使いやすかったのが「デジボク1」から引き続き登場するボクサーブラザー。

ボクサーブラザーの遠距離攻撃は、ゆっくりと直進する竜巻をパンチで発生させるというもので、これが結構な範囲を巻き込む上に敵を貫通しながら進むため、大量の敵を相手にする時にもってこいの性能。もちろんパンチによる近接攻撃も強力なので、数が少ない時はパンチ、多い時は竜巻攻撃といったように、状況に応じて使い分けることもできる。スペシャル技も広範囲を巻き込む性能で扱いやすく、かなり優秀なブラザーになっていた。

■個性的な新ブラザーが多数登場。テンポよく進むミッションも気持ちいい

「デジボク1」は、ナンバリング本編に比べるとミッション数が少ないというネックがあったが、本作では100を超えるミッションが用意されているとのことで(さすがに今回のプレイではすべてはクリアできなかったが)、ゲーム全体のボリュームが大幅に増加した形となる。

登場ブラザーについても100種類を超える数となり、ミッションを進めるごとに毎回のように新しいプレイアブルキャラが増えていくのは、アクションゲームではなかなか味わえない感覚だ。

同種のブラザーを救助するとスキルレベルが上がり、装備できる武器種が増えていく。デフォルト装備は「オーナー武器」としてダメージの補正が入るので、個性が失われるわけではない。

今回使えた新規ブラザーの中でもとくにインパクトがあったのが、アイルランドのブラザーであるサラブレッドシスター。

このビジュアルもさることながら、競走馬をイメージしたアビリティもユニークで、ムーブアビリティの「スーパースプリント」は地面にニンジン型の爆弾を設置しながらダッシュを行うというアクション。意外とこのニンジン爆弾の設置数が多く、ダッシュの継続時間も長いので、敵との距離を取りながら戦いたい時に使えば、敵から逃げながら追ってくる敵を爆弾で迎撃してダメージも与えられる一石二鳥のアクションになってくれる。

一方、サポートアビリティの「ペガサスライズ」は空中に飛び上がりながら体当たりをしかけ、スペシャル技の「ゼッタイ★勝利宣言」も高速で移動して進路上の敵をふっとばしていくという、ダッシュに特化した性能。他にない独特の動きができて使っていて楽しいブラザーだった。

日本の「サムライブラザー」も使って楽しかったブラザー。その名の通り侍をモチーフにしたブラザーで、刀による攻撃を得意とする。通常の斬撃以外にも、溜め攻撃で居合い斬りが出せたり、撃つのに時間がかかるが単発威力は高い火縄銃による射撃、威力が高く貫通効果もある矢を放つサポートアビリティの「剛弓」など、しっかりと侍っぽいアクションが揃っている。

その一方で、なぜかスペシャル技はV字型の太いビームを発射するぶっとんだ技になっており、それまでの侍っぽさは何だったんだとツッコミたくなる構成。

新しい敵も複数追加されており、歴代シリーズの侵略者だけではなく、本作オリジナルの敵として登場する巨大なEDF隊員はかなりのインパクトがあった。コロニストなど、ある程度人型っぽい敵と戦うことは従来のシリーズでもあったが、完全に人間的なビジュアルの存在を撃つのは「地球防衛軍」シリーズでは始めてというのもあり、かなり新鮮だった。

中には空中を飛び回る巨大なペイルウイングが複数出現して、空中から爆発武器を撃ちまくってくるステージもあり、かなり手強い。毎回EDF隊員たちと戦わされる侵略者の気持ちを少し理解できたかもしれない。

今回のプレイで改めて感じたのが、とにかくゲームテンポがよくサクサクとミッションを進められること。

一つ一つのミッションが、ナンバリングシリーズと比べると短めなのもあるが、アーマーはミッションをクリアするごとに上がる仕様となっており、武器もブラザーに紐づいている。ナンバリングシリーズのようにステージクリア前にアイテム集めをする必要がないため、「あとでアイテム回収しようと思っていたら、意図せずステージクリアしてしまって後悔する」という「地球防衛軍」シリーズあるあるが発生しないのは個人的には嬉しく、面倒な手間がない分、初めて「地球防衛軍」を遊ぶというプレイヤーにもとっつきやすい作品だろう。

一方、同じレンジャーでもダッシュが使えるのは、実際に元ゲーム内でダッシュが実装された「レンジャー5」と「レンジャー6」だけ。「EDF:IA」のトルーパーは前後へのローリングも可能になっていたりと、各タイトルのゲームの仕様を細かく再現されていてシリーズファンにとってたまらないポイントが多い。元のゲームを遊んだことのあるプレイヤーなら「そうそう、ここはそうだった」という当時の思い出が自然と蘇ってくるはずだ。

そんな「地球防衛軍」ファンから初心者まで、幅広い層が楽しめる本作。発売日まではあと少し、全国のEDF隊員達と共に再び「EDF!」コールを上げる瞬間が来る日が、今から楽しみだ。

(C)2003-2024 D3PUBLISHER (C)2003-2022 SANDLOT (C)2019-2024 YUKE'S


© 株式会社イクセル