海面上昇で石油輸出に影響も、中国シンクタンクが警鐘

David Stanway

[シンガポール 21日 ロイター] - 中国のシンクタンク、CWRは21日付のリポートで、海面水位の上昇により、原油出荷に深刻な影響が及び、中国や韓国、日本など輸入に依存する国のエネルギー安全保障が損なわれ、世界の多くの大規模ターミナルが洪水被害を受ける恐れがあると指摘した。

リポートでは、気温上昇で海氷が溶け、海面水位が大幅に上昇することで、数メートルに及ぶ海面上昇を避けられない事態が起こる可能性があると指摘。主要な石油諸港が水没するだけでなく、世界の石油取引にも影響が及ぶ上に、沿岸の製油所や石油化学施設も水没する恐れがあると警鐘を鳴らした。

気候変動に関する政府間パネルによる2021年の報告書によると、現在の傾向が続けば、平均海面水位は今世紀末までに1メートル以上上昇する可能性があると指摘。さらに、2メートルの上昇も排除できないと分析した。

CWRは、日本と韓国はいずれも、1メートルの海面上昇の影響を受けやすい港から約4分の3の原油を輸入しているが、両国の原油受け入れ港も海面上昇の影響を受ける可能性があると指摘した。

また、平均気温上昇を摂氏1.5度内で抑制しなければ、海面水位は3メートル上昇する可能性があり、さらにに多くの港湾インフラが危険にさらされることになると警告している。

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