世界遺産の島の特定外来生物「シロアゴガエル」がなかなか減らない…初確認から1年、住民巻き込み「バスターズ」作戦

シロアゴガエルの成体(沖縄奄美自然環境事務所提供)

 鹿児島県徳之島で特定外来生物シロアゴガエルの生息が確認されて、1年がたった。自然保護に取り組むNPO法人「徳之島虹の会」や国などが駆除を進めるが、生息数は増加傾向にあるとみられる。同会は今年の活動を正念場と捉え、根絶に向け住民への周知に力を入れる。

 「シロアゴガエルは1回の産卵数が400個と多く、成長も早い。生態系に影響を及ぼす可能性がある」。同会が17日に亀徳小(徳之島町亀徳)で開いた講演会で、奄美海洋生物研究会の木元侑菜研究員(33)=奄美市名瀬=が児童に語りかけた。児童は実際に個体を観察し、在来種との違いを見比べた。

 同種はアオガエル科で東南アジア原産。繁殖期は4~10月ごろ。国内では60年前に沖縄県で初めて確認された。鹿児島県内では2013年に与論島で見つかり、19年には全島に生息域が広がったとされる。

 徳之島では23年5月、同町徳和瀬の農道で発見された。環境省徳之島管理官事務所の同年11月までの調査では、徳之島、伊仙両町の40カ所で成体5010匹、泡巣(泡状の卵塊)3231個が見つかった。

 いずれも世界自然遺産の登録区域外だが、同省などは分布の広がりを懸念。同年度に成体・泡巣駆除のほか、水場への塩素剤散布といった対策を展開した。ところが、ボランティアで成体駆除にあたる虹の会によると、今年は4月中旬以降の駆除数がすでに千匹に上り、生息数の予想以上の増加を実感しているという。

 同会は、活動に住民も巻き込もうと5月、九電みらい財団(福岡市)の助成を受けて、島内の小中学生らが駆除を体験する「シロアゴガエル・バスターズ」を始めた。初日の18日は約40人が参加。沈砂池に仕掛けたわなに泡巣や成体の姿がないか確認した。

 会には、亀徳小での講演後、さっそく泡巣を見つけた児童から通報があった。美延睦美事務局長(61)は「情報をもらえるだけでも助かる。世界遺産の島を守れるか、今年の活動にかかっており、住民にも関心を持ってほしい」と呼びかける。活動は9月まで続ける。

わなにかかった泡巣を観察する木元侑菜研究員(中央)ら=18日、徳之島町亀徳

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