年収550万円・45歳男性「住宅ローンと子供の学費で火の車」だが…田舎の母からきた突然の電話に「どうすれば良いのか」

(※写真はイメージです/PIXTA)

4人家族の大黒柱である山田さん(仮名)。高校生・大学生の子を持ち、家計が厳しくなるなか、遠い田舎に住む母からも連絡がやってきます。いざというとき、どうしたらいいのか? 地方自治体が提供する公的支援制度とともに見ていきます。

教育費や生活費の負担が増え、家計は徐々に厳しく…

山田さん(仮名/45歳)は中小企業の技術職として働き、年収は550万円。大学2年生の長女と高校3年生の長男、専業主婦の妻との4人家族です。毎日家族のために頑張って働いています。

家族の住む家は5年前に購入したマンションで、毎月10万円の住宅ローンがあり、完済は60歳を過ぎる予定です。生活費はやりくりしながらも、何とか貯蓄も少しずつ増やしていました。しかし、次第に子供たちの教育費や生活費の負担が増えていき、家計は徐々に厳しくなっていきました。

長女は県外の大学に通っており、授業料や生活費の仕送りが毎月かさみます。さらに、長男も大学進学を控えており、受験料や入学金の準備が必要でした。妻は専業主婦として家庭を支え、家計の管理や子供たちの世話をしていましたが、子供たちの成長とともに出費が増え、次第に家計は逼迫していきました。

山田さんは、少しでも家計の足しにと副業を考えましたが、本業の忙しさからなかなか手を付けられずにいました。また、子供たちの教育にお金を惜しみたくないという思いも強く、どうにかしてやりくりしようと奮闘していました。

遠くに住む両親への思い

そんな中、山田さんにはもう一つ心配事がありました。遠くに住む両親のことです。両親は地方の田舎で暮らしており、父親は数年前に脳梗塞を患い、その後は体が不自由になっていました。母親はそんな父親を献身的に介護しながら、なんとか二人で生活を送っていました。

山田さんは仕事と家庭の忙しさから、なかなか実家に帰省することができず、年に数回しか顔を見せられない状態が続いていました。それでも、電話や手紙で近況を報告し合い、両親の安否を確認していました。

ある日、母親から電話がありました。父親が再び入院することになり、母親はその看病で疲れ果てているとのことでした。山田さんは急いで休暇を取り、実家に駆けつけました。病院で見た父親の姿は、以前よりもさらに痩せ細り、見るからに体力が衰えているのがわかりました。

母親も疲労が溜まり、顔色が優れませんでした。山田さんは両親の生活を支えるために、今後どうすれば良いのかを考えました。自分たちの生活も厳しい中、両親の介護にどのように関わっていけばいいのか、悩みは尽きませんでした。

「生活保護の申請」と「介護サービスの利用」

山田さんは両親の状況を改善するため、公的支援制度を活用することを真剣に考え始めます。そこで、地方自治体が提供する高齢者支援制度や生活保護について詳しく知ることにしました。

まず、両親が住む自治体の福祉事務所に連絡を取り、相談の予約を入れました。予約の日、山田さんは両親とともに福祉事務所を訪れ、担当のケースワーカーに状況を詳しく説明しました。父親の脳梗塞の後遺症や母親の介護疲れ、そして経済的な困窮について話すと、ケースワーカーは親身になって話を聞いてくれました。

ケースワーカーは、山田さんの両親が生活保護の対象になる可能性があると判断しました。生活保護は、最低限度の生活を保障するための制度であり、高齢者や障害者、病気や失業などで生活に困窮する人々を支援するものです。

申請手続きには、詳細な生活状況や収入・資産の確認が必要ですが、山田さんは必要書類を集める手伝いをしました。父親の障害者手帳や医療証明書、家計簿や銀行の預金通帳などを準備し、福祉事務所に提出しました。申請書類を提出すると、ケースワーカーは迅速に審査を進めてくれました。

生活保護の申請と並行して、山田さんは両親のために介護サービスの利用も検討しました。地域包括支援センターを通じて、ケアマネージャーと連絡を取り、介護保険の適用範囲について相談しました。ケアマネージャーは、父親の状態を評価し、適切なサービスプランを提案してくれました。

具体的には、訪問介護やデイサービス、短期入所施設の利用が考えられました。これらのサービスを利用することで、母親の介護負担を軽減し、父親も専門的なケアを受けることができます。介護保険の利用には自己負担もありますが、生活保護が認められれば、その負担も大幅に軽減されることがわかりました。

生活保護の申請から約1ヵ月後、山田さんの両親は無事に生活保護の受給が決定しました。毎月の生活費が支給されるようになり、経済的な不安が一気に解消されました。加えて、医療費や介護サービスの費用も一部または全額が補助されるため、両親の生活は大きく改善されました。

母親は、生活保護を受けることに最初は抵抗を感じていましたが、山田さんが「これは一時的なサポートであり、これから頑張るための時間を稼ぐためのものだ」と説得しました。母親も納得し、安心して支援を受け入れることができました。

生活保護の受給が決定した後、山田さんは…

生活保護の受給が決定した後、山田さんは両親の住む地域を訪れる頻度を増やしました。福祉事務所やケアマネージャーとも連携し、両親の生活がより良くなるよう努めました。将来的には、両親が自立した生活を取り戻せるよう、山田さん自身も支援を続けるつもりです。

また、山田さんは自分の家族にも経済的な教育を進め、将来的なリスクに備えるための計画を立てるようになりました。家族全員が公的支援制度の重要性を理解し、いざという時には適切な支援を受けることができるよう準備を整えています。

今回の経験を通じて、山田さんは公的支援制度の重要性とその恩恵を深く理解したと言います。家族を守るためには、個人の努力だけでなく、社会全体で支え合うことが必要です。

公的支援の存在を詳しく知らなかったり、活用に踏み切れなかったりする方も多いかもしれません。しかし公的支援は、個人の努力だけでは乗り越えられない困難な状況に対する社会全体の支えです。

制度を活用し、生活が安定した後、将来的な計画を立てることも可能です。困ったときには遠慮せずに活用し、未来を守るための一歩を踏み出しましょう。

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