中国の博物館で進むスマート化 デジタル技術で石窟や壁画観賞

中国の博物館で進むスマート化 デジタル技術で石窟や壁画観賞

11日、天竜山石窟博物館のディスプレーに表示されたデジタル復元後の石像。(太原=新華社記者/王学濤)

 【新華社太原5月22日】中国山西省太原市にある天竜山石窟博物館の没入型シアターでは、20世紀前半に海外に流失した石像の流失前の姿をデジタル技術によって観賞することができる。

 天竜山石窟は南北朝時代の東魏、北斉から唐にかけての各時代に開削され、石像の美しさで世界に知られる。1920年代の大規模な破壊で240体以上の石像が海外に流出し、うち150体余りが海外の博物館や個人に収蔵されている。

中国の博物館で進むスマート化 デジタル技術で石窟や壁画観賞

11日、天竜山石窟博物館に展示されている返還された天竜山石窟の仏頭と、3Dプリントで複製された仏頭のあった洞窟の一部。(太原=新華社記者/王学濤)

 太原理工大学芸術学院と米シカゴ大学東アジア芸術研究センター、天竜山石窟博物館がここ数年、流出した石像100体余りの3次元データを各国の博物館で収集。流出した石像の大部分をデジタルで復元した。

 デジタル技術は時空を超えて文化財の本来の姿を再現し、観賞時の没入感やインタラクティブ性、趣味性を高めている。同市の北斉壁画博物館では、4KVRゴーグルを装着することで仮想空間上の北斉徐顕秀(じょ・けんしゅう)墓に入ることができる。四方を荘厳華麗な壁画に囲まれ、功臣・貴族や楽隊、駿馬、牛車、武士、従者などが目の前に現れる。

中国の博物館で進むスマート化 デジタル技術で石窟や壁画観賞

11日、天竜山石窟博物館の没入型シアター。(太原=新華社記者/王学濤)

 同博物館の王江(おう・こう)館長は「墓室は一定の温度と湿度で保護する必要があるため来場者は入室できないが、科学技術を使えばより多くの人に1400年余り前の活気あふれる多民族文化交流を感じてもらえる」と述べた。

 科学技術により多くの文化財が博物館の外に足を踏み出すようになった。天竜山石窟のデジタル復元国際巡回展もここ数年、フランスやエジプト、ギリシャで開催された。中国の文化財と科学技術を深く融合させる一つの生き生きとした実践といえる。

中国の博物館で進むスマート化 デジタル技術で石窟や壁画観賞

11日、天竜山石窟博物館の没入型シアター。(太原=新華社記者/王学濤)

 太原市文物局の劉玉偉(りゅう・ぎょくい)局長は「科学技術は博物館をよりインテリジェンスで面白く、多種多彩に変えた。文化財を真に活用する上でもプラスになる」と語った。(記者/王学濤、姜淏然)

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11日、天竜山石窟博物館の海外流出石像検索パネル。(太原=新華社記者/王学濤)

中国の博物館で進むスマート化 デジタル技術で石窟や壁画観賞

11日、北斉壁画博物館で、ディスプレーに表示された壁画を見る人たち。(太原=新華社記者/王学濤)

中国の博物館で進むスマート化 デジタル技術で石窟や壁画観賞

太原北斉壁画博物館の壁画人物を集めた展示。(太原=新華社配信)

中国の博物館で進むスマート化 デジタル技術で石窟や壁画観賞

太原北斉壁画博物館の4K画像と仮想現実(VR)技術を用いた展示。(2023年5月8日撮影、太原=新華社記者/唐詩凝)

中国の博物館で進むスマート化 デジタル技術で石窟や壁画観賞

ギリシャで開かれた天竜山石窟デジタル復元国際巡回展で、展示を見る人たち。(太原=新華社配信)

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