アジア太平洋地域の不動産資産に「高リスク」、気候変動で=調査

[シンガポール 22日 ロイター] - コンサルティング会社XDIは22日に公表したリポートで、アジア太平洋地域の主要な不動産投資信託(REIT)が所有する不動産の10%近くが、気候変動による被害を受けるリスクが高いと指摘した。特に沿岸地域の不動産について警告した。

REITは長期投資家にとって安全な投資先と考えられているが、洪水や森林火災などの気候変動リスクによる被害で評価が下がり、保険料が上昇する可能性があるという。

主執筆者のフィリップ・タプソール氏は「気候変動で建築資産に対する物理的リスクは時間とともに高まり、特に地球温暖化が加速するシナリオでより顕著になる」と述べ、影響を受ける可能性のある企業や地域社会がリスクに適応する取り組みを強化する必要性を指摘した。

XDIは日本、オーストラリア、シンガポール、香港の上位20のREITが保有する不動産資産2000件以上(総額1420億ドル)を分析。世界の気候モデルと地域の気象データを用いて、異常気象で予測される損害を評価した。

年間損害額が再取得価額の1%を超える物件を「高リスク」と見なし、2050年までに10件に1件近くがこれに該当する見通しを示した。

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