米ジャンク社債、スプレッド縮小も投資家はリスク警戒

Matt Tracy

[21日 ロイター] - 米国の投機的等級(ジャンク級)社債の米国債に対する上乗せ利回り(スプレッド)は過去最小近くまで縮小しているが、投資家はリターン向上を狙い最も低格付けでリスクの高いジャンク社債に資金を振り向けることはためらっている。

JPモルガンのリポートによると、ジャンク級企業による年初からの新規社債発行額は1370億ドルと、前年同期の755億ドルを大きく上回っている。

この大半はジャンク級の中でも最も高格付けの企業が借り換え目的で発行した社債が占めた。一方、最も低格付けのジャンク社債は不透明な経済環境を背景に敬遠されてきた。

しかし、ジャンク社債全体の米国債に対するスプレッドは急激に縮小し、ICE BofAハイイールド・インデックスによると、今月6日に303ベーシスポイント(bp)と、国際金融危機後の最小の一歩手前まで縮小。

これは発行企業の借り入れコスト低下を意味するが、実際のリスク蓄積を反映してるとは投資家は考えていない。高金利や根強いインフレが企業の収益を圧迫しているため、今後はディストレスト・エクスチェンジ(経営難に伴う債務交換)やデフォルト(債務不履行)が増えると市場参加者は予想している。

格付け会社ムーディーズによると、第1・四半期にデフォルトした社債は330億ドル余りと、前期の190億ドルから増加。

またJPモルガンによると、年初来のディストレスト・エクスチェンジは128億ドルと、2008年に付けた過去最高の352億ドルを上回るペースで増えている。

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