ノルウェーなど3カ国、パレスチナ国家承認 イスラエルは大使召還

[ダブリン/オスロ/マドリード/エルサレム 22日 ロイター] - アイルランド、スペイン、ノルウェーは22日、パレスチナを28日付で国家として承認すると発表した。その上で、他の西側諸国による追随を期待するとした。一方、イスラエルは反発し、3カ国の駐在大使に即時帰国を指示した。

3カ国は、パレスチナ国家承認はパレスチナ自治区ガザにおけるイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘休止に向けた取り組みを加速させることが目的としている。

イスラエルの主要な同盟国である米国は、パレスチナ国家は「一方的な承認」ではなく、当事者間の直接交渉によって実現されるべきとの立場を堅持。国家安全保障会議(NSC)の報道官は「(バイデン大統領は)2国家解決の強力な支持者だ」と述べた。

ノルウェーのストーレ首相は記者会見で「何万人もの死傷者が出ている戦争のさなかにあって、イスラエル人とパレスチナ人双方に安全な住まいを提供できる唯一のもの、すなわち平和に共存できる2つの国家を存続させなければならない」と語った。

ノルウェーは、両国の境界は1967年以前の国境に基づいて設定され、エルサレムを両国の首都にすべきとした一方、こうした国境に関するノルウェーの認識が最終的な国境を巡る交渉に悪影響を与えてはならないとした。

これに対し、イスラエルのネタニヤフ首相は声明で、パレスチナ国家承認は「テロリズムへの報酬」と指摘。「これはテロ国家になる。(ハマスによるイスラエル奇襲が起きた昨年)10月7日の大虐殺を何度も繰り返そうとするだろう。われわれがそれを認めることはない」とした。

また、「テロリズムに報いることで平和がもたらされることもなければ、われわれがハマス打倒をやめることもない」と表明した。

<パレスチナ自治政府などは歓迎>

3カ国の発表はパレスチナ自治政府およびハマスから歓迎された。

国連加盟193カ国のうちロシアや中国、インドなどを含む約144カ国がパレスチナ国家を承認。ただ欧州連合(EU)加盟27カ国で承認しているのはほんの一握りで、その大半が旧共産主義国となっている。

英国、オーストラリア、スロベニア、マルタも地域の恒久的な平和には2国家による解決が不可欠だとして、過去数カ月においてパレスチナ国家を承認する意向を示している。

一方、ドイツは22日、さらなる対話が必要との見解を示したほか、フランスは条件がまだ満たされていないとした。

この問題で欧州諸国の立場は分かれており、スウェーデンは10年前に承認したが、フランスは和平に向けて効果的な手段とならない限り承認する計画はないとしている。

ノルウェーはこれまで、和平プロセスに寄与する場合にのみパレスチナ国家を承認するとし、米国と軌を一にしてきた。米国と緊密な関係にあり、数十年にわたりイスラエルとパレスチナ間の和平仲介にも努めてきた。

<イスラエル世論に重要な影響も>

欧州3カ国による今回の動きは、ガザ戦争における民間人犠牲者の問題などにより、イスラエルが国際的に孤立を深めていることを示した。

1990年代の「オスロ合意」を仲介したノルウェー外交チームの一員を務めたヤン・エーゲランド氏は、今回の発表はパレスチナ地域の占領を終わらせなければならないというイスラエルへのメッセージだと述べた。

イスラエル外務省の元幹部で、ネタニヤフ政権に批判的なアロン・リエル氏はロイターの電話取材に応じ、3カ国の動きはイスラエル世論に重要な影響を与える可能性があると指摘。国際社会でイスラエルとパレスチナの地位を同等にすることは「イスラエルの現指導部にとって悪夢」だと語った。

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