『呪術廻戦』ついに虎杖悠仁が覚醒!?  新たに開花する能力と“領域展開”の可能性を考察

※本稿は『呪術廻戦』最新話までの内容を含みます。ネタバレにご注意ください。

ほとんど主人公らしい見せ場が与えられていなかった『呪術廻戦』の虎杖悠仁に、とうとう挽回の時がやってきたかもしれない。4月8日発売の『週刊少年ジャンプ』19号(集英社)に掲載された第256話「人外魔境新宿決戦(28)」において、虎杖の“覚醒”を予告する展開が描かれていた。

現在、本誌連載分のエピソードでは、“呪いの王”両面宿儺と呪術高専サイドのキャラクターたちが全面戦争を行っている最中。五条悟に始まり、最後の特級術師・乙骨憂太や“鬼人”として完成した禪院真希など、最高峰の戦力が次々と集まり、激しいバトルを繰り広げている。

そこで虎杖はサポーター的に立ち回っていたが、最新話にてついに「黒閃」を発動。それによって潜在能力が解き放たれ、覚醒状態に入ったことがナレーションで明かされていた。

では、虎杖は実際にどんな力を発現させることになるのだろうか。いくつもの可能性が考えられるが、まず気になるのは「目」の描き方。「黒閃」を放った直後、虎杖の瞳は黒目の部分が渦巻きのような形へと変わっていた。その見た目は、宿儺の目と近いようにも見える。

実は目にまつわる異変は、「死滅回游」の終盤にあたる第214話でも描かれていた。宿儺が伏黒恵の肉体を奪った際、それに激高する虎杖の目が渦巻き状になっていたのだ。しかもこの時の虎杖は平常時よりパワーアップしたような描き方となっており、壮絶な勢いで宿儺に猛攻を仕掛けていた。

宿儺はそんな虎杖の出力増加に戸惑っていたが、直後に何事かを理解したのか、「そうか 小僧はあの時の」と意味深なセリフを一言。さらに、羂索による「気色の悪い」試みの影響も示唆しており、虎杖の出生の秘密に関わる描写ではないかと考察されていた。

それに続く第215話では、宿儺と裏梅が虎杖の顔を見ながら、かつて「播磨」にいた人物のことを思い出すような描写もあった。あまりにも唐突な描写で、関連するエピソードは作中では他に一切描かれていないのだが、「播磨」といえば日本の陰陽師と縁が深い場所。安倍晴明のライバルとしてお馴染み、蘆屋道満の出身地として有名だ。

そして『呪術廻戦』においては、蘆屋の姓を持つ「蘆屋貞綱」という呪術師が存在したことが明かされている……。ふたたび虎杖に目の異変が起きた新宿決戦では、これまで謎だった蘆屋貞綱とのつながりがあらためて掘り下げられるのかもしれない。

「領域展開」の可能性はあるか

ほかにも、虎杖の覚醒についてはいろいろな角度から考察できる。元々虎杖は生得的な術式を持っておらず、体術に呪力を上乗せしながら戦う術師だった。しかし今は状況が大きく変わっており、宿儺との戦いに備える1カ月のあいだに、「赤血操術」を習得したことが示唆されている。

実際に宿儺戦では、虎杖が「超新星」に近い技や「穿血」を放つ場面が登場。さらに脹相の口から、虎杖がまだ「百斂」を上手く使えないことも語られているため、術式自体は習得済みだと解釈するのが妥当だろう。「黒閃」の発動によって潜在能力が解放されるとすれば、この「赤血操術」のパワーアップという線が有力だと思われる。

また、呪胎九相図の力に開花しているとすれば、脹相の「赤血操術」だけでなく、ほかの兄弟たちの術式を使えるようになっている可能性もあるかもしれない。

さらには腕の形が“異形”になっていること、五条がかつて「君の体には宿儺の術式が刻まれる」と予言していたことなども、虎杖に秘められたポテンシャルとして注目が集まる部分だ。

何より読者が期待していることといえば、やはり虎杖が領域展開を使えるようになるのかどうかという点だろう。設定的な整合性はともかくとして、この物語の主人公である以上、領域展開を使えないまま終了することには違和感がある。

虎杖の成長スピードは驚異的で、すでに反転術式の習得にまで至っているので、もしかしたら……と期待せざるを得ない。今までは領域に付与できる術式がないため、ありえない展開だと思われていたが、「赤血操術」の習得によって少なからず現実味は増したのではないだろうか。また宿儺の術式が刻まれるという予言を信じるのであれば、領域展開「伏魔御廚子」を使う未来もゼロではないはずだ。

いずれにしても、宿儺との戦いは徐々に大詰めに近づいている印象。この先の虎杖の活躍には、どこまでも夢が膨らんでしまう。

(c)芥見下々/集英社

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