【MM Another Story:コルソ・ピロタ・クラシケの「別腹」】フェラーリ 365GTB4デイトナがご褒美!?フィオラノで満喫する特別なドライビングプログラム

クラシックフェラーリの魅力を再発見!4台の歴史的フェラーリをフィオラノ・サーキットでドライブ!!という夢のようなプログラムを体験してきたのは、自動車評論家の西川 淳氏。「コルソ・ピロタ・クラシケ」のメインイベントは、あのV12マシンだった。(MotorMagazine2024年6月号より再構成/文:Webモーターマガジン編集部/写真:フェラーリS.p.A.))

愛車でも参加可能。ドライビングテクニックが学べる

西川淳氏が参加した「Colso Pirota Classiche Fiorano(コスタ・ピロタ・クラシケ・フィオラノ)」の舞台は、イタリアにあるフェラーリのテストコース「フィオラノ・テストサーキット」です。参加できるのは、年式を問わずフェラーリを所有しているオーナーのみ。

フィオラノに用意された、講習用の名車たち。手前から308GTS(1975)、365GTB/4デイトナ、モンディアル3.2(1980)、550マラネロ(1996)・・・期待感とともに激しく緊張感を煽る顔触れだ。

2022年に日本人向けに発信された参加者募集の内容によれば、全2日間のスケジュールはこんな感じで進められるようです。

■1日目
12:00より ホテルに到着・チェックイン
13:00 ホテルでのウェルカムランチ
14;45 ファクトリーへシャトルバスで移動
15:00 フェラーリのファクトリーツアー
16:30 Officina Classicheと博物館を訪問
18:00 ホテルへシャトルバスで移動
19:30 レストランへシャトルバスで移動
20:00 ウェルカムディナー
■2日目
8:00 フィオラノ・テストサーキットへシャトルバスで移動
8:15 スタッフによる歓迎とテクニカルブリーフィング
9:00 「ドライビングテクニック」の実習
・サーキットでプロのインストラクター同乗のデモセッション
・サーキットでのフリーラップ
・ステアリングパッドでのテクニカルセッション(カウンターステア技術向上)
・ロードでのドライビングセッション)
13:00 フィオラノでランチ
14:00 計測器などを使った「レギュラリティ・トライアル」の実習
・プレッソスタット・コンテスト
・フォトセル・コンテスト
・ロードブック・トライアル)
17:30 授賞式と送別会

セッションの参加者は最大15人程度で、それぞれ同伴者1名を連れていけます。ホテルはフェラーリが手配してくれるもので、ランチ、ディナーではフェラーリを愛してやまない「同志」との懇親が図られます。

エンツォが生きている頃にタイムスリップした気分

当時の参加フィーは、車両持ち込みなしでのドライバー料金が6000ユーロ、同伴者が1600ユーロで、それぞれにイタリアの付加価値税22%が+となっていました。ちなみに同伴者には、モデナ市内中心部での観光ツアーといったアクティビティも用意されていたようです。

現代的な電子制御システムのアシストを受けないミッドシップスポーツは、クルマとの対話を楽しみながらクラシックカーのドライビングテクニックを磨くには最高の素材と言えるだろう。

できるだけ愛車で参加することが推奨されていますが、もちろん輸送費は別途必要になるうえ、Ferrari Classicheの認定が必要。日本からではちょっと難しいかもしれません。いずれにしろ、特別なプログラムであることは想像できます。

では実際に参加すると、どんな「特別」が体験できるのでしょうか。西川氏が参加したセッションでは・・・。

「使用される個体はもちろん彼らが入念に整備した名馬たち。参加した日に供されたモデルは308GTB&GTS(キャブ車)、モンディアル3.2、550マラネロ、365GTB/4デイトナという豪華ラインナップで、デイトナの代わりに250GTルッソが使われることもあるらしい。ちょっと動かしてみるという体験だけでも有難いモデルたちだろう」(西川氏)

もちろんすべてのクルマのハンドルを握って、ご満悦だったことは間違いありませんが、ここでは最後の最後に感じた悦びのコメントをお伝えしておきましょう。

「プログラムの締めくくりはデイトナだ。これはもう1日のご褒美というやつで、クラシケ部門にももう余剰はないというギアボックスの操作に気を遣いつつ、キャブレターV12をじっくりと丁寧に味わってみる。初期型デイトナ、しかも唸るほど重いペダルに重いハンドルとなれば決して気軽に楽しめる個体ではないけれど、それでも程よいスピードで走らせてみれば、なんだかエンツォが生きていた時代にタイムスリップした気分になった」(西川氏)

リヤトランスアクスルとフロントアクスルのかなり後方に配置されたV12による抜群の重量配分によって、ミッドシップスポーツを凌ぐハンドリングと扱いやすさで定評があった。
デイトナから見るフィオラノの景色もまた夢のようだった。エンツォと同じ空気を吸った気分に。
フェラーリのクラシックカー部門である「クラシケ」では、アーカイブの管理や認証プログラム、レストレーションを行っている。
ロードカーはもちろんレーシングカーの復元も行うすべての仕様データが残っているからこそ、正確な復元が可能である。

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