2023年6月、自衛隊員3人が訓練中に銃で撃たれ死傷する事件が起きた岐阜市の射撃場で、中断していた実弾射撃訓練が再開されました。
佐藤優音記者:
「自衛隊の車が射撃場に入っていきます。」
訓練が再開されたのは、岐阜市の陸上自衛隊「日野基本射撃場」で、守山駐屯地の隊員約50人が参加しました。午前8時前、隊員が訓練の実施を示す赤い旗を掲げたり、「射撃休止」の板を「射撃実施中」に変えたりしていました。
2023年6月、当時の自衛官候補生の男が隊員3人に向けて小銃を発砲し、2人が死亡、1人が重傷を負いました。事件のあと、この射撃場での訓練は中断されていました。2023年11月に訓練は一度再開されましたが、隊員が報道陣に向けて中指を立てるなどの行為をしたため、再び中断されていました。
今回、訓練を再開した陸上自衛隊は、再発防止策として、隊員に弾薬を渡すタイミングを遅らせて、銃と弾薬が同時に手元にある時間を減らすなどの対策を取り入れました。
訓練再開を受けて周辺に住む住民は…
近隣住民:
「より一層気を付けていただけると信じている」
「安全に再開されるなら仕方ないな」
識者が語る 再発防止には「カウンセリング」「コミュニケ―ション」
自衛官候補生が上官に対して発砲した今回の事件。軍事ジャーナリストの井上和彦さんは…
軍事ジャーナリスト井上和彦さん:
「組織の中、あるいは教育訓練のプログラムが問題があったということではなくて、犯人の精神状態がこの訓練に耐えられないものだったと思う」
今回の事件を受けて、自衛隊の厳しい上下関係にも注目が集まりましたが…
軍事ジャーナリスト井上和彦さん:
「極限状態の中で国民の権利財産を守らなければいけない人たちが厳しいことに耐えていくことは当然必要。戦場ではもっとひどい理不尽なことがある。それにも耐えられるような精神力を鍛え上げていく、そのために理不尽なことはなければならない。これは経験しなければならないと私は思う。
自衛隊で今行われているような厳しさに耐えられないような隊員であれば有事の際、また平時の災害派遣の非常に厳しい環境の中で彼らは任務を遂行しなければならないが、そういったことができないと思う。一方で、自衛隊の中でも若い隊員募集が課題となっている。今の世代の若者たちそして彼らに教育をしていかなければならないそういったジレンマはあると思う」
厳しい訓練の中で、どのように隊員の心をフォローしていくのかが課題になりそうです。
軍事ジャーナリスト井上和彦さん:
「最善策は自衛隊の厳しい訓練あるいは自衛官の資質に合わない隊員をいち早く見つけて、特別に彼らを教育するかここに尽きると思う。隊員の常日頃のカウンセリングと上司と部下のコミュニケーションを取っていく以外に再発防止は根本的にはできない」