「ねんきん定期便」の額が少なすぎて怖くなります。40代ならどのくらいの額が載っているものなのでしょうか?

40代のねんきん定期便の年金額は65歳から受け取れる金額とは異なる

ねんきん定期便とは、毎年誕生月になると送られてくる、自分の年金記録が記載されたはがきや封書です(ねんきんネットでは電子版を閲覧できます)。

ねんきん定期便には年金額も記載されていますが、金額の少なさに驚いたことがある人も多いでしょう。ここで勘違いしてはならないのは、50歳以前のねんきん定期便には「これまでの加入実績に応じた年金額」しか記載されていない点です。

これまでの加入実績に応じた年金額とは、ねんきん定期便を受け取った年齢までの加入実績のみで算出した金額です。つまり、30歳であれば10年間、40歳であれば20年間程度の加入期間のみで年金額が計算されています。

65歳から受け取れる年金額にはリタイアまでの年数分が加算されるため、50歳以前のねんきん定期便に記載されたものよりも大きな金額になるのが一般的です。

40代の「これまでの加入実績に応じた年金額」の平均は?

40代のねんきん定期便に記載された「これまでの加入実績に応じた年金額」は、いくらくらいであれば平均的だと言えるのでしょうか。日本年金機構が示す平均標準報酬額(賞与を含む月額換算)43万9000円と、令和6年度の老齢基礎年金の満額(年額)81万6000円をもとに、40歳時点(年金加入期間20年)での年金額を試算してみましょう。

老齢厚生年金の加入実績に応じた年金額は、次の式で計算できます(平成15年4月以降加入の場合)。

平均標準報酬額×5.481/1000×加入月数

平均標準報酬43万9000円、加入月数を240月とすると、老齢厚生年金の加入実績に応じた年金額は、年額約57万7000円となります。

また、老齢基礎年金の満額81万6000円は国民年金に40年間(480月)加入し、満額の保険料を納めた場合の数字なので、20年加入時点での年金額は、半分の40万8000円です。

老齢厚生年金と老齢基礎年金を合計した年額約98万5000円が、40歳時点での平均的な加入実績に応じた年金額だと推測できます。

定年まで平均をキープするともらえる年金額の目安

平均標準報酬額43万9000円をキープして40年間勤めあげた場合、年金額はどのくらいになるのでしょうか。

日本年金機構によると、平均標準報酬額43万9000円の人が40年間就業し続けた場合、配偶者の老齢基礎年金6万8000円も含めた年金額は、月額23万483円です。本人だけの年金額は月額16万2483円、年額では約195万円となります。

収入の状況などに変化がなければ、40歳の時点でねんきん定期便に記載された年金額と比べて、実際にもらえる年金額はおよそ倍増することが期待できると分かります。

公的年金シミュレーターを使うと将来の年金額を試算できる

将来の年金額の見込みを詳しく知りたい場合は、厚生労働省が提供する「公的年金シミュレーター」を活用するのがおすすめです。

ねんきん定期便のQRコードを読み込んで過去の情報を反映できるほか、年齢別に将来の働き方や年収などの変化を細かく設定でき、入力内容に応じた試算結果を見られます。将来の年金額を知ることで、貯蓄など老後に向けた資金計画の見直しができるだけでなく、今後の働き方を改めて検討することにも役立つでしょう。

ねんきん定期便を参考に老後に向けた働き方を検討しよう

40代までのねんきん定期便で分かるのは、現時点の加入実績ではどの程度の年金額を積み上げてこられているのかです。50代以降リタイアまでの働き方次第で、年金を受け取れるまでに上乗せできる年金額は異なります。

ねんきん定期便の年金額の少なさにショックを受けるだけで終わらず、今後の資金計画の方針を決めたり、老後に向けて働き方を見直したりする際に役立てるとよいでしょう。

出典

日本年金機構 大切なお知らせ、「ねんきん定期便」をお届けしています
日本年金機構 「ねんきん定期便」の様式(サンプル)と見方ガイド(令和6年度送付分)
日本年金機構 令和6年4月分からの年金額等について
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 は行 報酬比例部分
厚生労働省 公的年金シミュレーター

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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