犬のクッシング症候群は、コルチゾールと呼ばれるホルモンが過剰に分泌される病気で、シニア犬に多いといわれています。
では、クッシング症候群はどのような症状がみられ、どのような治療が行われるのでしょうか?
「犬のクッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)の症状と原因、治療法」について、いぬのきもち獣医師相談室の白山さとこ先生が解説します。
犬のクッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)とは?
引用元:いぬのきもち投稿写真ギャラリー
クッシング症候群とは、腎臓のすぐ近くにある副腎(副腎皮質)から産生・放出されるコルチゾールというホルモンが何らかの原因で過剰分泌を起こしてしまう病気です。
別名、副腎皮質機能亢進症とも呼ばれることがあります。
犬のクッシング症候群の原因
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犬がクッシング症候群になる原因として、以下のことが考えられます。
下垂体の異常
脳の下垂体の異常によって副腎を刺激するACTH(副腎皮質刺激ホルモン)というホルモンの分泌量が過剰になることで、コルチゾールが過剰に分泌されてクッシング症候群を引き起こします。
クッシング症候群の多くは下垂体の異常が原因であるといわれています。
副腎の腫瘍化
脳の下垂体が正常であっても副腎自体が腫瘍化するとコルチゾールも過剰に分泌されてクッシング症候群を引き起こします。
犬のクッシング症候群の症状
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犬がクッシング症候群になると、
- 多飲多尿
- お腹が膨れる
- 毛が抜ける
- 食欲が増す
- 呼吸が荒くなる
- 筋力が低下する
- 左右対象の脱毛や色素沈着
などの症状がみられることがあります。
クッシング症候群はさまざまな合併症を引き起こすことがある
コルチゾールは体の免疫機能を抑える働きもあります。このため、クッシング症候群が進行すると感染症などへの防御力も低下して、膀胱炎、寄生虫感染、膿皮症などの病気を併発することが考えられます。
そのほかにも、過剰なコルチゾールの影響で高血糖や脂質代謝異常など、さまざまな症状がみられることがあります。
犬のクッシング症候群の検査方法
犬のクッシング症候群の検査は、身体検査、血液検査、特殊血液検査(デキサメタゾン抑制試験、ACTH刺激試験など)、尿検査、X線検査、超音波検査、CT検査、MRI検査などが行われます。
犬のクッシング症候群の治療法
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犬がクッシング症候群と診断された場合、一般的に以下のような治療が行われます。
内服治療
下垂体や副腎腫瘍が原因のクッシング症候群と診断された場合は、コルチゾールの分泌を抑える内服治療が行われますが、根本的な治療ではないため、基本的に生涯を通して薬を飲み続ける必要があります。
放射線治療
腫大した下垂体に対して放射線を照射する治療が行われます。
外科手術
腫大化した副腎や下垂体を手術で摘出する治療法です。治療後はホルモンを補充する治療を生涯を通して行う必要があります。
クッシング症候群は一度発症すると生涯治療が必要となる病気ですが、内服薬などで症状をコントロールできれば、犬の生活の質を落とすことなく過ごせる可能性があります。参考にしてください。
(監修:いぬのきもち獣医師相談室獣医師・白山さとこ先生)
参考/いぬのきもちWEB MAGAZINE 『【獣医師監修】老化と間違えがち?犬のクッシング症候群とは 原因や症状、治療法など
取材・文/maki
※写真は「いぬのきもちアプリ」で投稿されたものです
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください