「減税アピール、増税ステルス」給与明細に減税額明記義務づけ、野党はダブルスタンダードと批判

国会議事堂(資料写真)

 岸田文雄首相は22日の参院予算委員会で、6月から始まる所得税と住民税の定額減税を巡り、民間企業などに対して給与明細への減税額明記を義務づける意向を明らかにした。その一方で財源を公的医療保険料に上乗せし給与から天引きする子育て支援金については「取り扱いが異なる」などとして負担額明記を約束しなかった。野党からは「減税アピール、増税ステルス(隠蔽(いんぺい))」(立憲民主党の辻元清美氏)とダブルスタンダードへの批判が上がった。

 明細への減税額明記について政府は3月に関係省令を改正して6月1日施行を決定。企業などへ周知を進めているが「事務に手間がかかり過ぎて社員への負担となっている」(神奈川県内の企業経営者)と苦情が出ている。鈴木俊一財務相も「企業などにとって負担といえば負担だが協力いただきたい」(21日の閣議後会見)と負担増を認めている。

 この日の審議で辻元氏は「給与からの減税を明らかにするのなら、実質増税とも言える子育て支援金の天引きについても明細に明記すべきではないか」と指摘。首相は減税の明記については「景気を上向かせるために政策効果を周知している」と意義を力説したが、負担金を巡っては「医療保険での取り扱いで制度は確定していない段階だ」などとかわし続けた。

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