RIIZE、初の日本単独公演は最後までエモーショナル SHOTAROが涙ながらに伝えた感謝

RIIZEの日本初単独公演『2024 RIIZE FAN-CON 'RIIZING DAY' in TOKYO』が5月11日~12日にかけて国立代々木競技場 第一体育館で開催された。9月4日の日本デビューと、7月から全国9都市15公演を回るホールツアー開催が発表された11日の初日公演では、日本人メンバー SHOTAROが「母国に帰ってきて、RIIZEとしてコンサートができるのが感慨深いです。日本で公演できるのが夢のよう……。韓国に渡ってから大変な時期もあったけれど、こうしてまた日本に帰ってきて、皆さんが『おかえり』と温かく迎えてくれるのがすごく幸せ。これからも日本でたくさん活動していくので、応援していただけると嬉しいです」と涙で言葉を詰まらせながら感謝を伝えた。

『2024 RIIZE FAN-CON 'RIIZING DAY' in TOKYO』は、5月4日の韓国・ソウルを皮切りに、東京、メキシコシティ、ロサンゼルス、香港、台北、マニラ、シンガポール、バンコク、ジャカルタと世界10都市を回るファンコン(ファンミーティング+コンサート)の初海外公演。韓国公演の初日には、SUNGCHANが「自分たちだけの公演をすることに憧れてきた。こうしてタロヒョン(SHOTARO兄さん)とチームを作って活動できて、ありがたくて幸せです」と涙した。RIIZEは、NCTのメンバーだったSHOTAROとSUNGCHANを中心に結成されたグループだが、NCTに後から加入したSHOTAROとSUNGCHANの2人が、NCTを脱退して別のグループでデビューするというのはファンにとって大きな衝撃だった。しかし知名度抜群の2人に加えて、実力もビジュアルもハイスペックなメンバーが集まったRIIZEは、2023年9月に「Get A Guitar」でデビューすると、現地でのシングル売上が100万枚超えの大ヒットを記録し、一気に人気グループに駆け上った。日本デビュー前から日本でのイベントライブに何度も出演し、『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)など音楽番組にも出演するほどすでに人気も高いが、単独公演は今回が初。今回、東京2公演での約2万4千席に対して、なんと50万件もの応募があったという。

雷鳴が響く中、メンバー一人ひとりがシルエットで浮かび上がり、SHOTAROの「東京! いくぞ!」という掛け声とともに6人が勢いよくステージ中央に登場。激しい「Siren (Performance Ver.)」で幕が開いたが、その圧倒的なパフォーマンス力に頭から圧倒された。これまでリリースしたオリジナル曲すべてに加え、アニメ『SEALOOK』(KBS 1TV)のOST曲「HAPPY! HAPPY! HAPPY!」、6月にリリースされる1stミニアルバム『RIIZING』から「Impossible」、「9 Days」、「Honestly」、「One Kiss」も先行披露された。さらに「One Thing」(One Direction)や「엉뚱한 상상 (White Christmas)」(SUPER JUNIOR)といったカバー曲、そして練習生時代にWONBINとSHOTAROの振付で踊ってデビューを手に入れた、RIIZEの原点ともいえる「Joy (feat. Mike Jones)」(ミッシー・エリオット)のダンスパフォーマンスまで、13曲をライブパートで披露した。

1曲目の「Siren」、そして本編最後のハウスステップが斬新な最新曲「Impossible」など、RIIZEのパフォーマンスは、ステップが細かく床に足がついている時間が短い。圧倒的なフィジカルに驚かされるが、これらの活動曲ではファンコールの大きさも凄まじかった。80’sポップスやハウス、オールドスクール・ヒップホップのサウンド要素を用いていたり、「Love119」のような青春を思い出すような楽曲も多い彼らの音楽性は、“エモーショナルポップ”と呼ばれている。少年と大人の狭間にいる彼らの存在、そして曇りのない爽やかなメインボーカル SOHEEの歌声は、エモさ全開だ。

ファンミーティングパートでは、メンバーそれぞれの個性と仲の良さが垣間見えた。トークパートのクレーンゲームで取ったカプセルの中の質問に答えるコーナーでは、「無人島に1つ持っていくとしたら?」という質問にANTONは、「SOHEE。ルームメイトなので」と、隣にいるSOHEEの手を握ると、会場は大絶叫。「長い休みがもらえたら?」という質問でも、SOHEEが「ニュージャージーのANTONの実家にメンバーたちと行きたい」と、仲良しぶりを発揮した。

続く「リアルタイム成長期」と題されたゲームコーナーでは、兄チーム(SHOTARO、SUNGCHAN、EUNSEOK)と弟チーム(WONBIN、SOHEE、ANTON)に分かれて対決。負けたチームが次の開催国で罰ゲームミッションをVTRで公開し、成長を見せるという構成となっており、ソウル公演で負けた弟チームがミッションを決行。「道で『僕はANTONだ!』と叫んでRIIZEの曲を歌う」というミッションを担当したANTONは、渋谷の街中、しかもRIIZEのポスターの真下で叫んで成長を見せてクリア。「SHOTAROの助けなしで、日本のカフェでオーダーする」というミッションを担当したWONBINは、カフェ……と思わせながら自動販売機でドリンクを買い、ミッション失敗という結果に。次のメキシコ公演に向けたゲームコーナーでは、メンバーをお姫様だっこするなど体を張ったゲームに挑戦。勝利した弟チームは、兄チームのEUNSEOKに「暑いメキシコで、リハーサル時にダウンコートを着る」というミッションを与えた。

アンコールでは、SHOTAROが「大事なお知らせがあります!」と切り出し、「僕たちRIIZE、9月4日に日本デビューが決定しました!」と告げると、会場はまたも大絶叫。さらに「実はこれだけじゃないんですよ」というSHOTAROに続きSUNGCHANが、「7月から日本で初のホールツアーが決定しました!」と告知し、さらに大きな歓声に包まれた。

最後の挨拶では、メンバーが一人ずつ想いを語った。

「ペンライトが本当に綺麗。今年の夏はずっと一緒に過ごせると思うので、寂しがらないでください。一生懸命準備してきましたけど、こんなに大きな会場で単独公演をするのは初めてなので、すごく緊張しましたが、たくさんのオレンジのライトを見ていたら幸せになりました」(ANTON)

「BRIIZE(RIIZEファンの総称)の皆さん、(ペンライトの)オレンジがとても綺麗ですね。始まる前はこんなに多くのBRIIZEの皆さんが来てくれるとは思っていませんでした。今年の夏は僕たちと過ごしましょうね」(SOHEE)

「(日本語で)ファンの皆さんのおかげで、このような公演をすることができました。(韓国語で)『Mステ』の時に、日本のBRIIZEが掛け声を上手にしてくれたのがすごく記憶に残っています。今日も始まる前に(SEの)『Get A Guitar』に合わせて掛け声をしているのが裏まで聞こえて、本当に感動しました。今日は本当に楽しくて幸せでした。これからも長く楽しい思い出を作っていきましょう」(WONBIN)

「(SHOTAROに日本語を確認して)会えて嬉しかったです。今日楽しかったですか? (再びSHOTAROに日本語を確認して)次もまた会いましょう。みんな、愛してる!」(EUNSEOK)

そしてSHOTAROが話し出すが、涙で言葉に詰まってしまう。SUNGCHANが先に「僕も日本でコンサートがしたかった。今日皆さんに会えて、本当に幸せです。先ほど嬉しいお知らせをしましたが、(次のホールツアーで)計15回の公演があります。その時まで一生懸命日本語を勉強して、素敵なステージになるよう頑張ります。観に来ていただいて、ありがとうございます」とファンに感謝を伝えた後に、冒頭のSHOTAROの発言。最後の最後まで、エモーショナルな展開を見せてくれた。

EUNSEOKが「福岡でもつ鍋が食べたい」、SOHEEが「大阪でUSJに行きたい」、SUNGCHANが「サイン会で行った名古屋にも行きたい」とツアーへの期待を見せていたが、今のRIIZEの人気なら即アリーナツアーも実現できるであろうところを、あえて地道にホールツアーを回るあたり、日本で長く活動していこうという意思が感じられる。SHOTAROとともに日本でレギュラー番組を持っていたSUNGCHANはもちろん、「日本で寿司職人の修業をしようと思っていた」というWONBINを筆頭に、メンバーたちが一生懸命日本語で話そうとしているのも嬉しい。彼らの実力と人気は本物だ。これからさらに大きなアーティストになっていくであろうRIIZEの日本初単独ライブ。日本での活動の貴重な一歩は、彼らの歴史にとって大事な1日になったに違いない。

(文=坂本ゆかり)

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