中国の調理済み食品、海外進出を加速 文化伝える担い手に

中国の調理済み食品、海外進出を加速 文化伝える担い手に

広東省東莞市で開かれた第8回中国国際食品・調味料博覧会と第2回中国国際調理済み食品産業博覧会の会場。(4月12日撮影、東莞=新華社記者/衛韋華)

 【新華社北京5月22日】中国で総菜や冷凍食品などの調理済み食品の市場が拡大する中、多くのメーカーが海外にも市場を広げ、すでに海外で健闘している企業もある。広東省は調理済み食品産業の全国的な中心地の一つで、川上から川下まで6千社以上が集まる。昨年は生産額を前年比25%伸ばし、同省からの輸出額は317億元(1元=約22円)と全国の18.3%を占めた。

 山東省青島市城陽区にある食品加工企業、青島浩源集団のオニオンリングは年間販売量2千トンの大ヒット商品になり、オーストラリアや日本などにも輸出されている。遼寧省大連市の水産加工会社、大連瑞馳企業集団は海産物を使った調理済み食品100種類以上を開発、全国の各家庭の食卓に運ぶとともに、50以上の国・地域にも輸出している。湖南省のザリガニ主産地である益陽市南県では、地元の水産加工企業、順祥食品がザリガニ加工品を欧米や東南アジアの40以上の国・地域に輸出、輸出額は年間2千万ドル(1ドル=約156円)に上る。

中国の調理済み食品、海外進出を加速 文化伝える担い手に

湖南省の水産加工企業、順祥食品のザリガニ加工場。(動画のスクリーンショット、益陽=新華社記者/張格)

 中国には成熟した生産技術と防腐・鮮度保持技術があり、優れた味や安定したコールドチェーン輸送技術も相まって、調理済み食品の海外進出を強力に後押ししている。2月には重慶市で生産された調理済み食品14トン近くが、中国とラオスを結ぶ「中老鉄道」の国際貨物列車に積まれ、中国西部と東南アジアを結ぶ「西部陸海新ルート」でラオスやタイに輸送された。調理済み食品が中老鉄道で国際輸送されるのは初めてで、重慶の地場産業と「西部陸海新ルート」の深い融合を実現した。

 調理済み食品の海外進出は、中華の美食文化を世界に広めることにもつながっている。旧正月に食べられる「年菜」は縁起担ぎの意味もあり、地域の特色をよく表した年越しの贈り物として重宝されている。今年2月には広東式の「年菜」の調理済み食品がニュージーランドとオーストラリアに輸出された。「年菜」の海外市場進出の第一歩となり、産業発展と投資の新たな注目点となっている。

中国の調理済み食品、海外進出を加速 文化伝える担い手に

焼き魚火鍋の調理済み料理。(資料写真、広州=新華社記者/解益坤)

 このほど開催された「2024粤港澳大湾区(広東・香港・マカオグレーターベイエリア)調理済み食品設備産業大会」では、世界中餐業連合会(WFCCI、世界中国飲食産業連合会)の武力(ぶ・りき)副会長が、飲食は経済的な利益をもたらすだけでなく、中華文化を広める重要な担い手にもなると指摘し、調理済み食品業界は急成長の黄金期を迎えており、各関係者の努力の下、中国の調理済み食品の海外進出はますます拡大するとの見方を示した。(記者/沈氷潔)

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