中井貴一&キムラ緑子、関西公演はすでに完売…舞台が好評なワケ

中井貴一とキムラ緑子というベテラン俳優同士が、2人きりで届けるリーディングドラマ『終わった人』が、関西で初めて上演される。5月22日に中井とキムラの会見が大阪市内でおこなわれ、初演の思い出や、今後も上演を継続していく意欲などを語った。

リーディングドラマ『終わった人』に出演する中井貴一とキムラ緑子(5月22日・大阪市内)

◆ 初演では「感動してくださるのにビックリ」(キムラ)

原作は、数多くの名作テレビドラマを手掛けた脚本家・内館牧子の同名小説。定年を迎えたサラリーマンが、仕事も恋愛も人生の逆転を狙って奮闘する物語を、2人の声だけで観客に情景を想像させる、リーディングドラマへと転化した。中井は主人公の壮介、キムラは壮介の妻、娘、愛人候補、バーのママの4役を演じ分ける。

リーディングドラマ『終わった人』に出演する中井貴一とキムラ緑子(5月22日・大阪市内)

2023年の初演について、キムラが「リーディングは不安だったのですが、内館さんが届けたいものを、お客さまがキチッと受け取って、感動してくださるのにビックリしたし、新鮮でした」と振りかえると、中井は「僕たちがやらなければいけない仕事のひとつは、舞台に足を運ぶことに、お客さまに慣れていただくこと。2人だけだと、普段舞台を見慣れない人たちのいる所に行きやすいので、声が出なくなるまではやれればと思っています」と、ライフワークにすることを希望した。

◆ なぜ好評?「テレビや映画が難しい時代だからでは」(中井)

その望みを叶えたかのように、2026年に再々演が決定したことが、記者会見の当日に発表された。しかし中井は「30~40代なら『もっとがんばります!』と言えたけど、(62歳の)今は『なるべく生きているようにがんばる』という感じ」と苦笑。一方キムラは「自分自身が歳を取っていくと、感じ方も受け止め方も変わる。今度自分がもう一度やらせていただくときに、どういう感覚になって、どういう風に伝えられるのかが楽しみです」と期待を語った。

リーディングドラマ『終わった人』に出演するキムラ緑子(5月22日・大阪市内)

また中井は、本作が好評な原因を「テレビや映画のドラマが難しい時代だからではないか」とも。「お客さまに想像力をゆだねないことの限界が(ドラマに)来ている気がします。でもリーディングは、想像のなかで自分の好きな登場人物を描きながら、観てもらうことができる。(初演で)リピーターが来てもらえたのは、そういう想像することのおもしろさを理解してくださったのかな? と思います」と分析し、最後に「今回もベストをつくして、楽しいものにします」と宣言した。

台本・演出は笹部博司。大阪公演は7月13・14日に「森ノ宮ピロティホール」(大阪市中央区)、兵庫公演は7月15日に「兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール」(兵庫県西宮市)にて。前売チケット8800円は完売したが、全公演とも当日券を発売する予定なので、公式サイトでご確認を。

取材・文・写真/吉永美和子

リーディングドラマ『終わった人』

【大阪公演】
期間:2024年7月13日(土)・14日(日)
会場:森ノ宮ピロティホール(大阪市中央区森ノ宮中央1-17-5)
料金:8800円

【兵庫公演】
期間:2024年7月15日(月)
会場:兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール(西宮市高松町2-22)
料金:8800円

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