「誰が責任を負うのかを年度内に決着つけたい」28人死亡の熱海土石流災害の損賠訴訟 最大の関心事"責任の所在"について審理計画を提示

2021年7月、災害関連死を含め住民28人が犠牲となった静岡県熱海市伊豆山地区の土石流災害をめぐる裁判の非公開の協議が2024年5月22日開かれ、静岡地方裁判所沼津支部は、盛り土の土砂流出の責任を誰が負うのかについて、2024年度内に明らかにするという審理計画を示したことが分かりました。

<原告側弁護団長 加藤博太郎弁護士>
「本日、裁判長が変わり、かなり今後のメドが示されたというところが大きなところだった。具体的には誰が今回の盛土で、誰が責任を負うのかと。誰が損害賠償責任を負うのか、それが所有者なのか、現所有者なのか、旧所有者なのか、あるいは熱海市なのか、静岡県なのか、あるいはそれ以外の方なのか、誰が責任を負うのかということを年度内までには決着をつけたいということを言っていた」

熱海市で発生した土石流災害の遺族や被災者らは、盛り土の前土地所有者や現在の土地所有者、さらに静岡県や熱海市などに対し、損害賠償を求めた裁判を起こしています。

22日開かれた非公開の協議では、遺族らを含む原告団の弁護士、住民10人からなる新たな原告団の弁護士、前と現在の土地所有者の弁護士、静岡県、熱海市の担当者などが参加しました。

今回から交代した静岡地裁沼津支部の寺本昌広裁判長から盛り土の土砂が流出した責任の所在については、「今年度内に決着をつけたい」とする発言があり、その理由として「救済されるべき人の救済を急がなければならない」などと述べたということです。
裁判の最大の関心事である「盛り土の土砂流出の責任を誰が負うのか」について2024年度内に明らかにするという審理計画が示されたのは初めてです。

また、新たに住民10人で組織した原告の弁護団は、災害の原因究明を進めるため、これまで注目されてこなかった「水の問題」「開発の歴史」などをまとめた書面を提出。さらに、被告の土地所有者、熱海市、静岡県がいつ、何をしたのか、何をしなかったのかを時系列でまとめた書面も提示したということです。

裁判は次回、7月10日に公開の法廷で口頭弁論を行い、原告側、新たな原告側それぞれの主張に対して、被告側の認否や反論などが行われるとみられます。

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