復興願い生け込み 総合花展23日開幕 香林坊大和8階

出品者らの熱気に満ちた前期の生け込み会場=金沢市の香林坊大和8階ホール

 石川県いけ花文化協会の創立30年を記念した第27回総合花展金沢展(同協会、北國新聞社主催)は23日、金沢市の香林坊大和8階ホールで開幕する。北陸最大規模を誇る花展で、協会の13流派242人をはじめ、今年は初めて次代を担う学生16人が参加し、前後期に分かれて出品する。22日は前期の生け込みが行われ、出品者は能登復興の願いをみずみずしい草花の生命力に託し、意欲作を仕上げた。

 県内各地から出品者が新緑の季節にふさわしい花材を持ち寄り、制作に打ち込んだ。被災した能登の華道家の姿もあり、会場は熱気に包まれた。

 能登町から出品した池坊の浦智子さんは、エビネやミヤコワスレ、ナツハゼなど山や地元から花材を探して構成した。「震災を受けて、伸びようとする花の力、草木の力強さを伝えたい」と話した。池坊の道田喜華さん(七尾市)は、地震を経ても庭で花を咲かせた一重のバラの美しさに元気をもらい、出品を決めたという。新緑のバラのつると赤の一輪、フトイなどを伸びやかに生けた。

  ●学生華道家が初舞台

 会場では学生華道家も晴れやかに生け込みに臨んだ。金大4年の加藤怜さんはガイミアリーブスをすっきりとまとめ、初夏の爽やかさを表現。「今後も華道を続けていきたい」と笑顔を見せた。

 県いけ花文化協会は1994年に設立、総合花展金沢展は翌年、設立記念花展として始まった。今回は北國芸術賞を受けた協会の参与、専務理事の計6人が全期間を通じて特別大作を披露し、役員、会員が流派を超えて美を競う。

 前期は23~25日、後期は26~28日。入場料は600円、高校生以下無料。

被災地の能登町宇出津から出品した浦さん(手前右)

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