【夏場所】大の里の改善点を元琴奨菊がズバリ指摘「まだ優勝のチャンスは十分にある」

豊昇龍(左)に下手投げで敗れた大の里

大器の課題とは? 大相撲夏場所11日目(22日、東京・両国国技館)、新小結大の里(23=二所ノ関)が大関豊昇龍(25=立浪)の下手投げに屈して3敗目。優勝争いから一歩後退した。今場所の前半は1横綱2大関を撃破する快進撃。ただ、後半に入ってからは勢いにやや陰りも見えている。ここから逆転Vは可能なのか。元大関琴奨菊の秀ノ山親方(40=本紙評論家)は、大の里の改善点をズバリ指摘した。

大の里が〝天敵〟に完敗を喫した。豊昇龍に右四つに組み止められて、足が出ない。左でおっつけにいくも、相手の右下手投げで豪快に裏返しにされた。初顔から3連敗となった取組後は「また次も頑張ります」と言葉少な。豊昇龍は「豪快な投げ? 気持ち良かったね。大関として強い相撲を取りたいと思った」と満面の笑みで、両者の表情は対照的だった。

この日の相撲内容について、秀ノ山親方は「右四つの展開になったけれど、大の里は立ち合いの踏み込みが少し遅れて腰高になり、圧力が伝わらなかった。上体だけで攻めようとしたところを狙われて、最後に投げを食らった。逆に豊昇龍は踏み込みが鋭く、左上手も浅い位置。大の里に力を出させなかった。イメージ通りの相撲だったのでは」と分析した。

今場所前半の大の里は1横綱2大関を撃破し、中日をトップで折り返した。しかし、9日目には平幕の平戸海(境川)に一方的に押し出されて完敗。その勢いに、やや陰りも見えている。秀ノ山親方は「(小兵の)平戸海は、的が小さくて当たりづらい相手。豊昇龍には苦手意識があったのかもしれない。ただ、考えすぎると立ち合いに迷いや隙が生まれる」と指摘する。

その上で「しっかり踏み込んで相手に圧力をかけながら、どんどん前に出る相撲が大の里の持ち味。うまさもあるけど、そこに安易に頼ると小手先の相撲になってしまう。やはり、馬力を生かして前に出ていく相撲を貫いてほしい。今の混戦の状況なら、まだ大の里にも優勝のチャンスは十分にある。残り4日間、自分の力を信じ切ること」とアドバイスを送った。

新小結で優勝すれば、1957年5月場所の安念山以来、67年ぶり。幕下付け出しデビューから所要7場所で賜杯を抱けば、最速記録となる。果たして、期待の大器は快挙を達成することができるのか。残り4日間の土俵から目が離せない。

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