大沢あかね、舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」出演は「人生で経験したことがないような新たな気持ち」【インタビュー】

大沢あかね (C)エンタメOVO

現在、ロングラン上演中の舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」。小説「ハリー・ポッター」シリーズの作者であるJ.K.ローリングが、舞台のために書き下ろしたシリーズ8作目となる作品で、ハリーたちが魔法界を救ってから19年後の世界が描かれている。2024年7月からハリーの妻・ジニー・ポッター役での出演が決まっている大沢あかねに、本作の魅力や見どころ、劇中で描かれる家族愛についてなどを聞いた。

-すでに日本でも総観客数が92万人を突破している話題の舞台です。ご出演決まったお気持ちを聞かせてください。

ロングランの公演中で、世界で愛されている作品の中に自分が入れるというのが信じられなかったです。ただ、子どもたちがすごく喜んでくれていたので、その姿をみてすごくうれしかったです。

-大沢さんは、テレビなど映像作品でのご活躍の印象がありますが、舞台に出演することについては、どのような思いがありましたか。

実は、この舞台との出合いは、(2024年6月までジニー・ポッターを演じている)大和田美帆さんから「親子の作品で、ジニーがあかねとリンクするところもあるから見においでよ」と誘っていただいて、見に行ったことだったんです。それで見に行ったら、すごく良い作品で、美帆ちゃんが演じていたジニーもすてきな役で、観客としてとても楽しめました。そうしたら、その数日後にジニー役でお話をいただいて。これはもう運命だと感じて出演させていただこうと。舞台経験もあまりないですし、ロングラン公演ですし、私自身も子どもが3人いるので大変なスケジュールの中での出演になることは分かっていたので、そうした葛藤もあったのですが、どうしても出演したいという気持ちが強かったんですよ。なので、これまでの38年間の人生で経験したことがないような新たな気持ちで今、臨もうと思っています。

-ご家族の反応はいかがでしたか。

すごく喜んでくれています。やりたいと伝えたら、夫はすぐに「やった方がいいよ」と言ってくれましたし、子どもたちはハリー・ポッターの大ファンなので、すごく楽しみにしてくれているようです。不安もありますが、その言葉を支えに頑張っていこうという気持ちです。 -大和田さんからは何かアドバイスがありましたか。

日本の公演は、3時間40分にぎゅっと凝縮されていて、とても見やすくなってはいるけれども、ジニーがステージに登場する前後に何をしていたのか、想像を膨らませてみるといいかもしれないと、すごくありがたいアドバイスをもらいました。美帆ちゃんは親友で、何でも気軽に聞ける間柄です。1番心強い味方がそばにいてくれるので、困ったことがあったら相談しようと思っています。

-公演をご覧になった率直な感想は?

すでに4、5回くらい見ていますが、スケールが大きい作品ですよね。観客も巻き込んで、みんなで魔法の世界に入れるというのが、すごく楽しいところだなと思います。それから、親子の物語でもあるので、親の気持ちに共感できるところも多かったです。「子どもがいると、そういうこと言っちゃうよね」と、思うシーンがたくさんありました。本当に感動する物語だなと思います。

-劇中には、ハリー親子の他にもマルフォイ親子、ハーマイオニー親子も出てきますが、大沢さんとしてはどの親子に一番共感しましたか。

やっぱりハリーと(息子の)アルバスの関係ですね。本当はお互いのことを思っているけれども、素直になれないという関係が自分と重なりました。私の家は、どちらかというと私がシャイなタイプで、夫が表現力豊かなんですよ。私が「ここでもっとこう言っておけばよかったな」と(ハリーのように)思うタイプなので、ハリーに共感できるところも多かったです。なかなか自分の思いを伝えられないハリーを支えているジニーはすばらしい女性だと思いますし、すごくすてきな夫婦だなと思いながら台本を読みました。それから、アルバスは、ハリー・ポッターというものすごい魔法使いの子どもですから、そうした意味でも、私の子どもたちにも見て、何かを感じてもらえたらいいなと思いました。親が2人ともテレビに出ているので、きっとつらい経験もあると思うんですよ。私たちには言いませんが。そうしたところは、(子どもたちは)アルバスの気持ちに似ているところがあるんじゃないかなと思いながら台本を読んでいます。

-大沢さんが演じるジニー・ポッターにはどんな印象がありますか。

とにかく強い人。子どもが3人いて、ハリーが頼りない場面があっても「大丈夫よ」と明るく背中を押してあげられる。決して自分が前に出ることはないけれど、ハリーを支えている、明るくたくましい女性だなと思います。

-ハリーに共感できるというお話もありましたが、ジニーに似ているところはありますか。

ないです(笑)。ジニーはその場の空気を読んで、たとえ怒りたい気持ちがあっても、自分の気持ちを抑えるのがすごく上手。でも、私だったら怒ってしまいます(笑)。私なら「何やってんの!」と言ってしまいますが、ジニーは「大丈夫、気にしないで」と言ってあげられる大人な女性だなと思います。

-今回、Wキャストでジニーを演じる白羽ゆりさんの印象は?

まだお会いできていないのですが、先日、白羽さんが演じているジニーを見に行って、とてもすてきでした。強くて、たくましくて、上品で。きっとそれぞれのジニーの演じ方があると思うので、良いところを学びつつ、自分らしさを出していけたらいいなと改めて思いました。

-劇中には、魔法もたくさん出てきますが、特に印象に残っている魔法は?

電話ボックスでハリーが突然消えてしまうシーンなど、いろいろとありますが、一番驚いたのはポリジュースを飲んで急に外見が変わってしまうところですね。一体いつどこで、何が起こったの? と、びっくりしました。ただ、仕掛けを聞いても誰も教えてくれないんですよ(笑)。ジニーが関わっていないシーンなので。どうなっているのか知りたいです(笑)。

-そうした魔法も含めて、子どもから大人まで楽しめる作品だと思いますが、特に子どもたちが見るときにおすすめしたいポイントを教えてください。

3時間40分という長い公演ですが、全く長さを感じないですし、飽きさせない作品です。ところどころにちりばめられた魔法は、あっと驚くようなシーンがとても多いと思うので、小さなお子さんでも喜んで見ていただけると思います。それに、お父さんやお母さんへの気持ちが再確認できる、家族の愛情を描いた物語でもあるので、親子でもぜひ見に来てほしいなと思います。

-ちなみに、大沢さんが子育てで大切にしていることは?

夫が芸人さんということもあって、常に笑っていたいと思っています。そもそも、私も明るい家庭が理想ですから。今作で、ジニーとハリーは、さまざまな壁にぶち当たって、笑っていられない場面もありますが、「最後はみんな幸せに笑っていたらいいよね」という思いを感じるので、理想とするところに似ているなと思います。

(取材・文・写真/嶋田真己)

舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」は、都内・TBS赤坂ACTシアターでロングラン上演中。

舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」

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