酷暑日「クーリングシェルター」に避難を 熱中症警戒、熊本の自治体でも公共・民間施設の指定へ

熊本市がクーリングシェルターに指定する予定の五福公民館=14日、熊本市中央区

 熱中症に注意が必要な季節になった。環境省は今年から、危険な暑さに備えを促す「熱中症特別警戒アラート」の運用を始めた。冷房が効き、誰でも駆け込める指定暑熱避難施設(クーリングシェルター)の開設も市区町村に促している。浸透はこれからとみられるが、熊本県内の自治体でも登録の動きがある。

 「特別アラート」は気温や日射量などから算出する「暑さ指数」が、都道府県内の全地点で35以上になると予想される場合、前日午後2時ごろ発表し、健康を守るための行動を促す。暑さ指数33以上の予想に基づく「熱中症警戒アラート」の上位に設けた。今年は10月23日まで運用する。

 クーリングシェルターは改正気候変動適応法に基づき、市区町村に公共施設のほか、店舗など民間施設の指定を促している。熊本県によると、県内の状況は把握していないが、指定を進めている自治体もある。

 天草市は支所や資料館、コミュニティセンターなど市内10地区の計75カ所を指定し、今月13日に公表した。市は既に2013年度から6~9月の3カ月間、市施設を夏場の一時休憩施設として開放しており、アラート発表にかかわらず利用できる。市の担当者は「暑さを感じたら気兼ねなく涼んでほしい」と話す。

 宇土市は市役所1階の市民交流スペースをクーリングシェルターに指定した。

 熊本市は23年度、区役所やまちづくりセンターなど市の26施設を熱中症対策で利用できるようにした。今年はこれらをクーリングシェルターに登録する準備を進めている。施設の収容人数や利用できる時間を取りまとめ、6月上旬にも市のホームページや公式SNSで公表する予定だ。

 「熱中症は命に危険を及ぼすという意識を持ち、アラートにかかわらず、クーリングシェルターを利用してほしい」と市健康づくり推進課。ただ、施設の休館日は利用できないため、「商業施設など民間にも協力をお願いしたい」と話している。(清水咲彩)

指定された施設に貼られる「クーリングシェルター・マーク」。各市区町村が自由に色付けできる(環境省提供)

 ◆相次ぐ救急搬送、県内では死亡者も

 5月に入り、熱中症(疑い含む)で救急搬送される人が相次ぎ、熊本県内では死亡者も出ている。暑さが本格化する夏場を前に、熊本市消防局は「徐々に体を暑さに慣らしてほしい」と順応を呼びかけている。

 総務省消防庁の速報値では、4月29日~5月12日の2週間に熱中症で救急搬送されたのは県内で17人で、このうち死亡は1人。県と有明広域消防本部によると5月3日午後、荒尾市の80代女性が畑で意識を失って倒れているのが見つかり、搬送後に死亡した。

 気象庁が16日発表した向こう1カ月予報によると、暖かい空気が流れ込みやすく、全国的に高温となる。特に期間前半は気温がかなり高くなる見込みという。

 市消防局救急課は「日常生活で汗をかき、次第に体を慣らすことが大切。農作業などで暑さに慣れている人も、体調次第で熱中症になることもある。こまめに水分補給してほしい」と呼びかける。(清水咲彩)

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