熊本・人吉市の人口、3万人切る 1942年の市制施行以来初 熊本豪雨も減少に拍車

 熊本県人吉市の住民基本台帳上の人口が3月末に2万9824人となり、1942年の市制施行以来、初めて3万人を切った。2020年の熊本豪雨も人口減に拍車をかけた。

 市の人口は1955年の4万7877人がピークで、60年に減少傾向に転じた。市復興支援課によると、89年の九州自動車道八代-人吉の開通と、バブル崩壊期に当たる90年代初めが、減少が加速した時期に重なる。93年度中に4万人を割った。

 熊本豪雨が発生した2020年度から21年度にかけては691人減り、減少率は過去最大の2・2%だった。21年度から22年度は413人減少した。新型コロナウイルス禍も重なり、21年の市の出生率は1・55で、初めて熊本県全体の数値を下回っている。

 市民課によると、今年3月に転出などで311人減少し、3万人を下回った。4月の転入などによる増加は55人にとどまり、3万人台を回復できなかった。市復興支援課は「市内に大企業や大学がなく、高校を卒業した若者が市を離れるケースが多いことも大きな原因の一つ」としている。

 熊本県の「県の人口と世帯数」(4月1日現在)によると、人吉市の人口は、県内45市町村のうち、益城町に次ぐ14番目の多さ。14市では、宇土市に続く11番目。(金村貫太、東寛明)

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