撮影：YURIE-PEPE
歌手の森山愛子が5月17日、東京・渋谷区のけやきホールでデビュー20周年記念コンサート「ありがとう そして明日へ」を開催した。
2004年に『おんな節』でデビューし、昨年デビュー20周年を迎えた森山愛子。この日のコンサートは、森山がデビュー20周年記念曲『雨の空港』を熱唱して開幕。森山は超満員の客席に「今日は20年分の感謝を込めて歌いますので、最後まで楽しんで下さい」とあいさつして、『会津追分』『尾曳の渡し』『伊吹おろし』とカラオケでも評判の旅情演歌三部作を一気に歌い上げた。
続いて、バンドのメンバーをステージに呼び込み、7人のバンドメンバーから20本のバラを受け取ると「バラは2番目に好きよ」と一言。次のパートに進む予定だったが、次々にプレゼントを渡すお客さんが後を絶たない状況で、「まだ、4曲しか歌っていないのに、すみません。ありがとうございます」と照れながら話す森山の姿に、20年を共に歩んできたファンとの強い絆を感じ取れる瞬間だった。
その後、バンドの生演奏で『イムジン河』『悲しくてやりきれない』そして、森山愛子の新たな扉を開けた大切な楽曲でもある『約束』へと続いた。お酒にまつわるさまざまな物語を朗読したのち、『父さんのウイスキー』『時代おくれ』『酒場にて』とお酒をテーマにした曲を披露。第一部の最後は「大好きなちあきなおみさんの歌をお聞きください」と話してから『冬隣』を歌唱した。
約15分の休憩をはさんで、白いドレスに衣装替えした森山が元気いっぱいに『愛子のソーラン節』を歌唱してスタート。観客とのコール＆レスポンスである合いの手も完璧に決まっていた。続いて、ここまでの20年から特に思い出深いオリジナル曲を7曲厳選してメドレーで披露。『風樹の母』『恋酒』『雨の信濃路』『喜連川』『みれん花』『ぞっこん』『おんなの神輿』と、森山のヒストリーを辿るような構成で観客を楽しませた。
そして、バンドのメンバーが再登場して「愛子の名曲ベスト7」と題し、デビュー以来テレビの音楽番組などでたくさんの名曲にチャレンジしてきた中から、思い出に残る7曲を披露。『大利根月夜』を皮切りに『もう一度逢いたい』まで一気に歌い切った。
ここで森山が「突然ですが報告があります」と切り出し、静まり返る会場で発した言葉は、誰もが予想していなかった休養宣言だった。「ちょうど20年前の5月19日に歌手デビューして、ここまでやってきましたが、20年という区切りの年を迎えて、心に浮かんだのは、このまま皆さんのお力に甘えて良いのかということでした。この機会に、いま一度、自分自身を見つめなおしてみたい…そう思い、少し長いお休みをいただきたいと考えました。本当に私のわがままで申し訳ありません」と報告した。
そして「小さな頃から歌が大好きで、いつか歌手になれたらいいなぁと思った私ですが、幸運なことに、水森英夫先生と巡りあうことができました。水森先生は、ありったけの情熱で 私に歌う事の楽しさや厳しさを教えてくださいました。どんなに感謝してもしきれません」と、恩師で師匠の水森英夫に感謝の意を表した。
さらに森山は__「レコード会社やプロダクションの皆さん、そして事務所の先輩である坂本冬美さん…皆さまの力強い応援をいただき、たくさんの真心を頂いて、さまざまな場面で歌うことができました。感謝の気持ちでいっぱいです。
この20年の間にファンの皆さまとの出会いがありました。私にとっては、かけがいのない出会いです。皆さんの応援があったから、大好きな歌をいつも楽しく元気よく、歌ってくる事ができました。苦しい時や辛い時もありましたけど、いつもそばで本当のファミリーのように暖かくいつも包んでくれたのは、ファンの皆さまです。私の宝物です。本当に、本当にありがとうございます。
ごめんなさい。突然の報告になってしまって、でも、どうしても皆さまには、自分の口から伝えたかった。でも、今日、辞めるわけではありません。今年いっぱいは一生懸命歌います。また、皆さまとお会いできたらうれしく思います。
前向きなお休みです。結婚はしません。それだけは申しておきます。どうぞ皆さま、時々は思い出してください」と語り、恩師・水森英夫作曲の『陽は昇る』__を万感の思いを込めて歌い切って、本編は終了となった。
アンコールでは『人生一路』を歌唱して「大好き、大好き、大好き」と連呼、最後は「私の始まりの1曲です。デビュー曲『おんな節』をお聴きください」と語り、デビュー曲『おんな節』を精いっぱい歌い上げて、デビュー20周年記念コンサートは幕を閉じた。
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