足裏に「イボ」ができて痛い…どんな治療法がありますか?【日本版「足病医」が足のトラブル解決】

足ふきマットの共用などで、傷口からウイルスが侵入し発症も

【日本版「足病医」が足のトラブル解決】#19

「足の裏にタコのようなできものがあり、皮膚科で削ってもらっているのですが良くなりません。触ると硬く、表面はザラザラしていて……」

そう話すのは都内に住む60代の女性。半年前から足裏にできた豆状の突起物が気になり皮膚科に通われていたそうですが、治らないとのことで当院を受診されました。

タコやウオノメと間違われやすいのが「イボ」です。医学的には「尋常性疣贅(ゆうぜい)」と呼ばれ、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によって起こります。銭湯やプールの脱衣所、足拭きマット、スリッパやタオルの共有など、直接触れた部位の皮膚にある小さな傷口からウイルスが侵入することで発症します。

とりわけ足底の場合、歩行などで常に体重がかかるので、イボは盛り上がりにくく硬くなり、押すと痛みを感じやすい。こういった外見と症状からタコやウオノメと間違われやすく、実際に皮膚科で削る治療を受けている方は少なくありません。ただ、イボの特徴に黒い出血点があり、患部を削ると出血します。

先述の女性は、深くまで削ると出血したため組織の一部を採って病理検査を行ったところ、「尋常性疣贅」と診断されました。

放置すると、患部が大きくなるだけでなく、他の人にうつったり、患部に触れた手で自分の体を触ると、新たな部位にイボができる可能性があるので、しっかりと治療して取り除く必要があります。

イボの治療は、液体窒素に浸した綿棒を患部に当てて凍結し、取り除く冷凍凝固法が中心です。その他に炭酸ガスレーザーでの切除や外科的な手術を行う場合があります。ただ、完全に取り切れなければウイルスは増殖し、再発するリスクが高いです。補助的な治療としてサリチル酸や尿素軟膏といった外用薬や、ヨクイニンなどの漢方薬を処方しています。

私が専門とする形成外科で行っているのが、炭酸ガスレーザーを用いてイボを完全に焼き切る方法です。ただし、レーザーを当てた部分は傷が深く、そのままの状態で歩くとそこから細菌が入り込んで感染を起こすケースも少なくない。松葉杖を使用して患部を免荷することや、術後は足底に体重がかからないよう、何重にも重ねたフェルトを傷のサイズに合わせて丸く切り抜き、足底に貼った状態で2~3週間ほど過ごす必要があります。

(田中里佳/順天堂医院足の疾患センター長)

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