「5時半ごろにATMで手続きを」 よくある手口と特殊詐欺防ぐ 尼崎の郵便局長に感謝状

署長感謝状を受け取る尼崎西昆陽郵便局の林康弘局長(中央)と尼崎三反田郵便局の吉岡敦史局長代理(右)=尼崎市南塚口町2、尼崎北署

 還付金名目の特殊詐欺被害を未然に防いだとして、兵庫県警尼崎北署は尼崎西昆陽郵便局長の林康弘さん(54)に署長感謝状を贈った。林さんは以前も被害を食い止めており、「地元の人の大切な財産を守ることができてうれしい」と話した。

 4月15日夕、顔見知りの高齢女性が来局した。「5時半ごろでも窓口やってるんやね」。時計の針はまだ午後4時半を過ぎたばかりで時間を勘違いしている様子。林さんが用件を尋ねると、サポートセンターを名乗る人物から還付金に関する電話があり、「本人確認証を持って5時半ごろにATMで手続きをするように」と指示を受けたと話した。

 郵便局の営業時間外にATMを利用させるのは特殊詐欺のよくある手口で、そもそもATMの利用に本人確認証は必要ない。林さんが詐欺の可能性が高いことを説明すると、女性も徐々に気付きはじめた。念のために女性が持っていたメモに記されたサポートセンターの電話番号にかけると男が出た。「なんのサポートをしてくれるんですか」と尋ねたが、返事のないまま電話が切れたため、林さんはすぐに110番した。

 贈呈式で三浦和弘署長から感謝状を受け取った林さんは「高齢者が多い地域で、これからも気軽に相談しやすい郵便局でありたい」と笑顔をみせた。

 同署は同じく水際阻止に貢献した尼崎三反田郵便局の吉田洋子課長代理(59)と吉岡敦史局長代理(47)にも感謝状を贈った。(池田大介)

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