中国広西チワン族自治区で希少樹種「膝柄木」の幼苗発見

中国広西チワン族自治区で希少樹種「膝柄木」の幼苗発見

15日、中国国内で見つかった野外で天然更新した膝柄木の幼苗。(南寧=新華社配信/蒋日紅)

 【新華社南寧5月23日】中国広西チワン族自治区林業局はこのほど、同自治区林業科学研究院が、同自治区北海市林業科学研究所の研究チームと共に同市鉄山港区南康鎮で野生の「膝柄木(しつへいぼく)」の苗1株を発見したことを明らかにした。この株は現在中国で見つかっている唯一の野外で天然更新した膝柄木の苗でもあり、今回の発見は絶滅危機樹種が自然環境において繁殖能力を維持していることを示し、遺伝的多様性や種の保護について理解する上で大きな意味を持つという。

 膝柄木はケントロプラクス科ベーサ属の高木で、主に同自治区の海岸近くの傾斜地にある雑木林に生息する。国家1級重点保護野生植物に指定された非常に小さな個体群であり、「中国生物多様性レッドリスト」「国際自然保護連合(IUCN)の絶滅危惧種レッドリスト」に記載されている。野外ではこれまでに大型株15株しか見つかっておらず、中国の十大絶滅危惧樹種の一つとされている。

中国広西チワン族自治区で希少樹種「膝柄木」の幼苗発見

17日、広西チワン族自治区林業科学研究院が人工繁殖した膝柄木の種苗。(組み合わせ写真、南寧=新華社配信/蒋日紅)

 同研究院の蔣日紅(しょう・じつこう)上級技師によると、膝柄木はその特殊な生理的、生態的性質のため自然繁殖が困難であり、天然更新で種を拡大することが難しいという。また、開花期に授粉を手伝う昆虫の数が少ない、結実期に果実が動物に食べられる、果実が落下後に腐りやすい、種子の発芽率が低いといったことも、野外で膝柄木の苗を見つけられない要因になっている。

 同研究院はここ数年、膝柄木の人工種苗2830株の生育に成功し、同自治区の国有欽廉林場や山口マングローブ林生態国家級自然保護区、南寧市の青秀山などにそれぞれ植えた。2022年9月には欽廉林場で幼苗約千株の野外回帰植樹を完了し、今年1月の現場再訪時には苗木の活着率が70%に達したことを確認した。蔣氏は、研究チームが今回の発見を契機に膝柄木の植物的特性をさらに研究して野外への回帰植樹のメカニズムを改善し、より良い形で種の保護を進めていくと紹介した。(記者/楊馳)

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