〝リーマンを破綻させた男〟が著書執筆理由を語る「人を動かすのはカネではない」

齋藤栄功氏

アメリカの大手投資銀行リーマン・ブラザーズに対する総額371億円の詐欺、株式のインサイダー取引で懲役15年の実刑判決を受けた齋藤栄功(しげのり)氏が先日、東京・霞ヶ関で初のトークイベントを開催した。著書「リーマンの牢獄」(講談社)は発売から1週間で増刷が決定した。

冒頭で謝罪した後、リーマンショックの引き金となった事実関係を説明した。齋藤氏の事件を知った世界的な投資家ウォーレン・バフェット氏が、リーマンブラザーズに対して資金援助をしなかったことが、破綻を招いたという。

齋藤氏の執筆内容について、日経新聞出身のジャーナリストの阿部重夫氏が裏取りした監修ゆえ内容には自信を持つ。

カネに狂い犯罪に走ってしまった反省から「人を動かすのはカネではない」と説いた。刑務所内で、「書かなくては生きていくことができない」と悟り、執筆を始めたという。

証券マンから、独立し、医療ベンチャーを立ち上げ、株式交換で、上場企業の副代表まで務めた齋藤氏は、医療版ライブドアを目指した時期があった。「ホリエモンさん、井川意高さんと鼎談したらとの声もいただきますが、私の本は、『刑務所なう。 ホリエモンの獄中日記195日』とは違いますから」と語る。

詐取したカネを隠し持っているのではないかとの質問が飛ぶと、「本にも書いていますが、債権者に破産を申立てられたので返せるものは返しています」と説明した。

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