ストーカー被害215件 県内23年認知まとめ、3年ぶり増加 凶悪化、県警相談呼びかけ

 栃木県警が2023年の1年間に認知したストーカー被害は、過去最少だった22年比38件増の215件となり、3年ぶりに増加したことが22日までに、県警のまとめで分かった。県警は、23年1月に福岡市でストーカー規制法に基づく禁止命令を受けた元交際相手の男の女性刺殺事件などで、県民の危機意識が高まったことを要因とみる。またドメスティックバイオレンス(DV)は43件増の725件だった。県警はストーカーとDVについて「加害者の執着心から凶悪事件に発展し、身体や生命を脅かす危険性もある」とし注意を呼びかけている。

 県警人身安全少年課によると、ストーカーの認知件数の統計は01年に開始。02年の584件が最多で、近年は減少傾向となっている。21年184件、22年177件と2年連続で過去最少を更新した中、23年は増加に転じた。

 被害の内容別では、つきまといや押しかけなどが113件で最多。無言電話が60件、面会や交際などの義務のない要求53件、粗野乱暴な言動43件と続いた。

 被害者との関係性は、交際相手が110件で最も多い。次いで友人・知人が45件、職場19件、配偶者(内縁関係を含む)11件、面識がない人物8件だった。

 摘発件数は28件増の50件で倍増。ストーカー規制法違反が17件、暴行・傷害が6件、住居侵入5件などと続いた。警告件数は46件増の194件で、口頭警告が152件、禁止命令が37件、文書警告が5件だった。同課は違法事案を積極的に摘発したとし、「大半は口頭指導で事態が収束している」と説明する。

 一方、DVの認知件数は14年の904件をピークに、その後は増減しながら推移。21年は662件で、22、23年は2年連続で増加した。

 23年の725件のうち、加害者は配偶者が482件で最多。同居中の交際相手が106件、元配偶者が32件と続いた。被害内容は体への暴力が580件で8割を占め、精神的DVが136件、性的DV7件、経済的DV2件。摘発件数は25件減の93件だった。

 同課はストーカーとDVについて「犯罪であるとの認識が広く浸透している」と分析。「行為がエスカレートする前に、勇気を出して警察に相談してほしい」としている。

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