初盆の伝統 鬼灯籠の制作進む 長崎・東彼杵の西川さん

和紙に各宗派の「お題目」を切り込み、華やかに仕上げた西川さん作の「鬼灯籠」=東彼杵町

 8月のお盆を前に、長崎県東彼東彼杵町で初盆の家の仏前や精霊船に供える「鬼灯籠(おにとうろう)」の制作が進んでいる。
 鬼灯籠は多面体の枠に和紙を張り、初盆を迎える家の「家紋」を書き、「南無妙法蓮華経(なむみょうほうけんげきょう)」など信仰する宗派の「お題目」を切り込むのが特徴。色紙などで飾る。お盆最終日の15日に仏前から精霊船に移し、海辺まで船を運び、御霊(みたま)を極楽浄土に送り出す。
 同町千綿宿郷の西川勇さん(71)は、小学生のころ父親の灯籠作りを手伝うようになり、40年ほど前、友人のために制作を再開。灯籠の枠を、ゆがみやすい竹から木に変更、光沢ある色紙で飾るなど改良を重ね、毎年10~20個ほど注文が入る。高さは約1メートル50センチ。
 西川さんによると、町内では数人が鬼灯籠を伝承している。「注文がある限り、心を込め丁寧に作りたい」と話した。

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