ユースコミュニティ「nest」第3期が始動、サステナビリティをけん引する「原石」が輝ける場に

サステナブル・ブランド ジャパン(SB-J)のユースコミュニティnest [SB Japan Youth Community]の第3期が、4月20日にキックオフした。サステナビリティや社会課題について考えを深め、志を共にする仲間づくりのために集まった16~25歳の31人のメンバーのうち、22人が会場またはオンラインで参加した。nestの第1期から関わっていた、現在大学3年生の足立萌愛美氏が今期からプロデューサーに就任。「サステナビリティの分野で原石みたいに輝いている人がたくさんいる。そういう人が安心して輝ける場所を作っていきたい」と抱負を語った。(松島香織)

nestは、同じ志を持つ若い世代が共に学び・共創し、最終的には、社会課題解決に向けたアクションを起こすというゴールを目指すユースコミュニティだ。2017年から日本で開催しているサステナブル・ブランド国際会議に、仲間たちと集まっていたという大学生たちの発案がきっかけとなり、2022年からスタートした。プロデューサーやメンターが主体的に企画を考えメンバーに伴走し、またOBたちも可能な範囲でサポートするかたちで活動している。「nest」とは「鳥の巣」の意味で、所属は最長3年間、若者が何らかの成果を得て世の中に羽ばたけるよう、SB-Jが主催・運営支援している。

冒頭、nestはサステナビリティに関心のある学生や社会人が集まり、対話を通じて課題解決に取り組むユニークなコミュニティだと運営側のSB-Jが改めて説明。そしてこの場では「対論」でなく「対話」してほしいと促した。「対論はAとBが戦ってどちらが勝つかということ。だが、対話はAとBが変わることを前提に話してCという答えを出すこと。物おじせず、積極的にしっかりやってほしい」と集まった第3期のメンバーにメッセージを伝えた。

プロデューサーの足立氏は、高校生を対象にしたSB-Jの次世代育成プログラム「SB Student Ambassador(SA)」に参加したことをきっかけにnestを知った。そして第1期はメンバー、第2期はメンターとして参加してきている。SB-Jのプラグラムを「ステップアップ」して活動してきたからこそ、nestをさらにメンバーに寄り添ったより良いものにしたいという思いがあるようだ。

挨拶する足立プロデューサー
ワークショップの様子

まず、足立氏は初対面のメンバー同士が打ち解けられるよう、「雪山サバイバル」ゲームを開始。自分が乗っていた飛行機が雪山で遭難したという設定で、飛行機に積んであった新聞紙やサバイバルナイフなど10アイテムを重要な順番に並べ、模範解答の順位と比較しポイントを競う。4~5人のチームに分かれたメンバーは、初めて会う仲間たちに自己紹介。シートを見ながらみんなで優先順位を決めていき、最後に足立氏が「第1位は大箱入りのマッチ」などと発表するのを聞いて、一喜一憂していた。

会場が和やかな雰囲気になったところで、nest第2期メンバーで今期からメンターとなった、大学1年生の藤井玲緒氏が、nestのビジョンと年間計画を説明した。ビジョンは、現場視点で課題の本質を捉える「社会課題探究」と、自己と社会のつながりを発見する「自己探究」を2軸に据えた思考力を身につけること。活動は前期と後期に分け、前期では有識者の講義やフィールドワーク等から知識・体験をインプットしつつ、メンターとの1 on 1を通して、自分の学びたい・取り組みたい事を探究していく。後期は自己探究をもとにグループまたは個人でのアクションプランを作成し、その実現に向けた活動を進める。翌年3月開催のSB国際会議は、その成果発表の場となる。

こうした説明を聞いた後メンバーたちは、次のプログラム「自己探究ワークショップ」を体験。今期新しくメンターになった、大学3年生の坂本みなみ氏が進行した。ワークシートに、思いついた自分の興味関心事や自分の強みなどを書き込み、自分を探っていくだけでなく、さらにペアを組んだ相手の強み・素晴らしいところを発見してシェアする。坂本氏は積極的に席を移動して、いろいろな人と対話するように働きかけた。

ワークショップでは自分の関心事を共有
真剣にワークシートに書き込むメンバーたち

「正しい支援」に興味があると話すメンバーは、「持続可能な”正しい”支援をニーズに応じて行うために、国際化の影響と文化の維持の境界線をはっきりさせることが必要」だと考えているという。なぜなら、いわゆる先進国が自国の利益のために支援を「利用」しており、ローカリズムが軽視されていると考えているからだ。また他のメンバーは、「サステナブルな活動が強迫観念でなく、みんなが普通に暮らしている中で、その普通にしていることが地球にやさしかったらいい」などと、自分の考える理想の社会を語っていた。

プログラムを終えて、「これから1年間どんなことが実現できるかワクワクした」「みんな楽しそうで嬉しい。自分ももっと頑張りたいと思った」といった感想が多く聞かれ、メンバーそれぞれが多くの刺激を受けたようだ。

キックオフ終了後は、メンバーの山口笑愛氏の提案でポッドキャストを収録。第1期から参加している山口氏は、「ポッドキャストの発信ができておらず、今年から力を入れていきたい」と意気込む。着物のリメイクブランド「u縁me(ゆうえんみ)」を立ち上げた山口氏は、ユネスコ無形文化遺産に指定されている京都の伝統芸能「六斎念仏」を継承する足立氏と、日本文化について語り合った。2人は「若者世代と伝統文化に距離がある」「どこまで既存の文化にアレンジを加えてもいいのか。アレンジをしても伝統文化と呼んでいいのか」といった課題を感じている。「日本文化をもっと身近にしたい」「若者も気軽に日本文化に触れてほしい」などと、大いに話が盛り上がっていた。

第3期nestがキックオフ!
ポッドキャスト収録中の山口氏(左)と足立氏

nestの活動について、ぜひチェックを!
メンバーによる各種発信 (Podcast/note/Instagram 他)
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