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被爆者の体験を語り継ぐ長崎市の家族・交流証言者事業の定期講話で、佐賀県唐津市の看護師、荒木千尋さん(29)が、長崎で被爆した中村一俊さん(2022年に88歳で死去)の体験を初めて語った。
中村さんは11歳の時に被爆。爆心地から約1.5キロの知人宅を訪れ、家の下敷きになった。がれきの隙間を見つけ、地面をはい進んで脱出。大きなけがはなかった。その後、県内で就職し定年を過ぎた頃、次々と病気に見舞われ死を間近に感じた。快方に向かってから「二度と同じことが起きないように」という思いで、被爆体験を語り始めたという。
荒木さんは幼い頃から平和に関心があり、19年、被爆体験の継承などに取り組む青少年ピースボランティアに参加。長崎市内であった被爆者との交流会で中村さんと知り合い、平和や家族への思いに心を打たれた。同年に交流証言者となった後、中村さんと3回会い、体験を聞き取ったり、話し方の研修などに励んだりした。
「中村さんが生きているうちにデビューできなかった」という心残りがあり、中村さんの思いを少しでも正確に伝えようと、残された肉声を聞きながら声のトーンや話し方をまねて練習を重ねた。
荒木さんは今月9日、同市平野町の長崎原爆資料館で初の講話に臨んだ後、今後の活動に向けて「戦争の恐ろしさや平和の尊さを、自分なりの言葉で伝えていく」と誓った。次回の講話は今月26日午前10時から同館で予定。
20日時点の同事業の家族証言者は15人、交流証言者は40人。