高齢者の就業人数と全労働人口に対する就業率
総務省統計局が公表した「統計トピックス No.138統計からみた我が国の高齢者」によると、2023年時点での全人口に占める65歳以上の高齢者(以下「高齢者」)の割合は、29.1%と過去最高でした。75歳以上の後期高齢者だけでも16.1%に達し、約6人に一人が75歳以上です。
このような超高齢化社会の日本において、どれくらいの高齢者が働いているかというと、2022年には男女あわせて約912万人にも上りました。これは15歳以上の就業者全体に対して13.6%に相当する人数という計算になります。
高齢者の4人に一人は労働者
高齢者のみにフォーカスした就業状況もご紹介します。2022年における高齢者の就業率は25.2%でした。つまり高齢者のうち約4人に一人は働き続けていることになります。年齢階級別に割合を見ると、表1の通りです。
表1
※総務省統計局「統計トピックス No.138 統計からみた我が国の高齢者」を基に筆者作成
70歳以上になっても働いている人は多く、高齢者の半数近くにも及びます。
高齢者世帯の平均年収
厚生労働省「2021年 国民生活基礎調査の概況」によると、高齢者世帯(65歳以上の人のみか18歳未満の未婚者も加えて構成される世帯)の平均所得金額は、332万9000円です。所得階層別に分けて見ると、上位の6階層は表2の通りです。
表2
※厚生労働省「2021年 国民生活基礎調査の概況」を基に筆者作成
上位6階層は全て、平均所得金額以下の階層に属しています。
約3人に一人の高齢者は家計を心配している
内閣府「令和3年度 高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査結果」によると、経済的な暮らし向きについて「心配していない高齢者」は67.7%いました。
一方24.5%は「家計にゆとりがなく、多少心配である」と回答しています。また7.4%は「家計が苦しく、非常に心配である」と答えました。合計すると31.9%になり、約3人に一人の高齢者が多少なりとも家計の心配を抱えていることが分かります。
就業する高齢者が増加している理由は定かではありませんが、「家計を心配して定年後も働き続けたい」と考える高齢者も少なからずいる可能性があります。
定年後も働き続ける高齢者は相当数いる
2022年における高齢者の就業率は25.2%でした。日本の高齢者人口の多さを踏まえると、かなりの人数の高齢者が定年後も働いていることが分かります。
また家計に対して心配している高齢者も多数存在するようです。高齢者人口が今後も増え続けると仮定した場合、それにともなって高齢者の就業人数も増える可能性は十分あるといえます。
出典
総務省統計局 統計トピックス No.138 統計からみた我が国の高齢者(2.3.7.8.11ページ)
厚生労働省 2021年 国民生活基礎調査の概況 結果の概要(9ページ)統計表(16ページ)
内閣府 令和3年度 高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査結果(8ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー