確定申告で「医療費」と「生命保険」を申告し忘れました。「5000円」くらい戻ってきそうなのですが、もう遅いですか? 3月15日以降だと“罰則”などあるのでしょうか…?

還付の期限は5年後の1月1日までで遅れても罰則はない

所得税や住民税を払いすぎた場合や還付の申告が漏れていた場合、課税年度の翌年1月1日から5年間は払いすぎた税金の還付を受けられます。例えば2023年に支払った医療費や生命保険料に対する還付の期限は、翌年2024年1月1日から5年間、つまり2028年12月31日までです。

5年以内に確定申告書(還付申告書)を作成し、電子申告や郵送で税務署に提出すれば還付手続きが完了となり、所得税や住民税が還付されます。

確定申告の締め切りである3月15日を過ぎても、税務署からとがめられたり、還付金が減らされたりすることはありません。あくまでも確定申告期間として定められている2月16日~3月15日は納税する場合の期間です。還付の場合、申告の期間は定められていないため、3月15日を過ぎてからでも問題にはなりません。

期限を過ぎると還付されないものもある

ただ、還付申告の全てが「3月15日以降でも有効」というわけではありません。控除の種類によっては「3月15日までに確定申告をすること」が要件となっているものがあるからです。例えば青色申告特別控除があります。

確定申告は、できるだけ3月15日までに済ませるようにしましょう。

確定申告で税金の還付が受けられるケースは?

3月15日以降であっても還付が受けられるケースには以下のものがあります。思い当たるものがあれば、確定申告をして還付を受けましょう。

__・生命保険料控除など会社の年末調整で申告し忘れたものがあるとき
・医療費控除や初めての住宅ローン控除など必要な申告をしていないとき
・ふるさと納税の申告が漏れていたとき
・災害や盗難などで資産に損害を受けたとき__

本来、確定申告をしなければ還付を受けられないケースはもちろん、会社での年末調整で完結できる還付手続きが漏れていた場合も、確定申告をすることで還付されます。

納付が遅れた場合は延滞税が発生

納税を伴う確定申告が3月15日以降になってしまうとペナルティが発生します。確定申告が3月15日に間に合わなかった場合や修正によって納付しなければいけない税金が発生すると、延滞税を納めなければなりません。

申告・納税が遅れるほど延滞税は増えていくため早めに済ませることが大切です。延滞税は日割りで計算され、納付期限から支払い完了までの日数に基づいて加算されます。

なお、税務署の指摘後の場合は過少申告加算税も課されるため、自主的に修正することが大切です。

確定申告をして取り返せる税金は取り返そう

3月15日の締め切りを過ぎて所得税・住民税還付のために確定申告をした場合の扱いを解説しました。3月15日を過ぎても、5年以内に申告すればペナルティなしで還付を受けられます。

納税金額が足りない場合は税務署からの指摘やペナルティがある一方で、還付の場合は誰も教えてくれません。この機会に生命保険料や医療費、住宅ローン、ふるさと納税などの申告漏れがないか確認してみましょう。確定申告することで戻ってくる税金があるかもしれません。

出典

国税庁 令和4年分申告所得税標本調査結果
国税庁 No.2030 還付申告
国税庁 No.9205 延滞税について
国税庁 No.2026 確定申告を間違えたとき

執筆者:浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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