芸能リポーターが中尾彬さんの死を悼む…囲み取材での気遣い、おしどり夫婦の絶妙距離感

中尾彬さんと池波志乃さん夫妻(C)日刊ゲンダイ

亡くなった中尾彬さん(享年81)の晩年は、沖縄の別荘や千葉のアトリエを処分し、窓からスカイツリーや不忍池の見えるマンション高層階の自宅で過ごした。そして上野界隈を散歩し、ふたりで思い出の地を振り返るような旅行に出掛けたそうだ。もともとは中尾さんが行き先などの計画を練っていたが、ここ数年は妻の池波志乃(69)任せ。「かみさんの言うことはなんでも聞く」という主義でもあった。

芸能リポーターの平野早苗氏はこう言う。

「囲み取材では、ひとつ質問すると、2つも3つも答えてくださる方でした。取材者がどんな答えを欲しいのか、いろいろと考えてくださったのだと思います。低音の響く通る声がすてきなダンディーで、トレードマークのねじねじスカーフをどのように巻かれているのか、気になったものでした。幅広い役柄をこなす演技は見事の一言。ドラマや映画ではこわもての印象もありますけど、家では奥さまに頭が上がらない、優しくて気弱で、ちょっぴりおちゃめだったようです。ご冥福をお祈りいたします」

同じく芸能リポーターの川内天子氏も「話の枕は必ず、『ウチの志乃が……』だった」として、こう続けた。

「本当に無意識に、奥さんを嫌みなく褒めるところが昭和世代には珍しく、“おしどり夫婦”と呼ばれたゆえんだと思います。実際は夫婦べったりでもなく、いい距離感の夫婦のお手本のようでした。志乃さんのお父さまの金原亭馬生師匠に相当頭を下げて結婚を許してもらったことも背景にあったと思います。同時に“やさしくて、いい男”の品格を保っていたのは、志乃さんのお膳立てがあったからこそ。ギリギリまでお元気で、現役のまま旅立たれたのも志乃さんの采配あってのことでしょう」

妻の池波は「あまりに急で、変わらない顔で逝ってしまったので、まだ志乃~と呼ばれそうな気がします。かないますならば、中尾彬らしいね~と笑って送ってあげてくだされば幸いです」とコメント。映画やドラマでは重厚感ある役柄で存在感を発揮。己の流儀を貫いた粋人は大好きな眺望のなか、自宅での最期も愛妻に看取られた。

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