木村拓哉主演ドラマ『Believe』、“若年層は見ていない”「コア視聴率1%台大惨敗」は何がマズいのか

『Believe』主演の木村拓哉(C)ピンズバNEWS

5月23日、木村拓哉(51)主演のテレビ朝日開局65周年記念作品『Believe―君にかける橋―』(木曜夜9時~)の第5話が放送される。

『Believe』は、刑務所に収監されている大手ゼネコン「帝和建設」の土木設計部部長・狩山陸(かりやま・りく/木村)が、ある出来事がきっかけで「一度はふたをした真実」を明らかにするために脱獄する物語。第3話で脱獄してからは、スリリングな逃亡劇が描かれているが――。

「本作はテレ朝の開局65周年記念作でもあり、とても気合いを入れて制作されている作品ですよね。“キムタクドラマ”ということで放送前の注目度・話題性も高く、現在も世帯視聴率は悪くない。

一方で、重要なコア視聴率は急落。非常に厳しい状況になっています」(制作会社関係者)

現在のテレビ界は、13~49歳の個人視聴率であるコア視聴率を最重要視している。『Believe』は初回(4月25日)こそ世帯11.7%、個人6.8%、コア2.8%(関東地区/ビデオリサーチ調べ)という、コアもまずまずな滑り出しだったが、前回の第4話(5月16日)で世帯9.8%、個人5.7%、そしてコアは1.8%まで転落してしまっているのである。

ちなみに、今期ナンバーワンのコア視聴率を記録しているのは長谷川博己(47)主演の『アンチヒーロー』(TBS系/日曜夜9時~)で、最新の第6話(5月19日)は4.5%だった。

「『Believe』の世帯視聴率はほぼ10%なので、そこは問題はないのでしょう。しかし、単価の良いCMを獲得するために最も重要とされる若年層の視聴率であるコア視聴率が1%台というのはなんとも寂しい。しかもそれが、“視聴率男”と言われた木村さんの作品でですからね。

テレ朝は、シニア層の視聴者が多いと言われますが、それにしても厳しい。5月16日の『Believe』の1.8%というコア視聴率は同時間帯の主要民放キー局の番組で最下位です。テレビを視聴している若い層は、他のチャンネルに合わせているということですね。

若年層が見てくれない大惨敗数字の理由――そのひとつにはキャスティングがありそう。木村さんは現在も大スターですが、もう51歳ですし、『Believe』には若くて数字も取れる俳優が少ない印象です。さらに出演者が重厚すぎて、“若者向けではない”感じがしますよね」(前同)

『Believe』は木村演じる狩山の妻・玲子に天海祐希(56)、狩山の上司・磯田典孝役に小日向文世(70)、刑務官・林一夫人役に上川隆也(59)など、豪華なベテラン俳優がキャスティングされている。

一方で、若い俳優は刑事・黒木正興役に竹内涼真(31)が出演している以外は、一ノ瀬颯(27)や山本舞香(26)、濱田龍臣(23)など、分かりやすく多数のファンを持つ俳優がキャスティングできているかと言われたら、やや疑問が残るところはある。

■視聴者が待望した斎藤工との絡みがない

連続ドラマで最も肝心なのは脚本だが、 『Believe』のシナリオには、こんな声も――。

「木村さんが演じているのが逃亡犯役だけあって――他の俳優たちと喧々諤々言い合いをするとか、ライバルとなる俳優とバチバチにやり合うとか、そういうシーンが少ないんです。逃亡犯だけに、バレないように逃げないといけませんからね。

スターで“常にヒーロー”な木村さんの活躍に物足りなさを感じている人もいるようです。もちろん妻役の天海さんと2人きりで話すシーンがあったり、電話越しに一ノ瀬さん演じる部下を説得したり、印象的なシーンも決してゼロではないですが……」(テレビ誌編集者)

特に、主人公の担当弁護士・秋澤良人役で出演している斎藤工(42)とは、『BG~身辺警護人~』(テレビ朝日系/18年1月期)など木村と共演が多いだけに掛け合いを期待する声も多かったが、第2話の面会シーンを最後に顔を合わせていない。

「脚本に関しては、主人公の狩山が脱獄を決意した理由、“会社を守るために泥をかぶったが、妻の玲子が余命1か月と知って釈放を待っていられなくなったから”というのが“あまりにも強引すぎる”という意見が目立ったり、登場人物が保身に走って狩山を見捨てようとする展開の多さに、辟易する声などが出ていますね」(前同)

ネットには、

《もう見ててイライラする。どいつもこいつもクズばっかり キムタクの無駄遣いじゃない?》
《話の取っ掛かりが弱い。会社のために罪をかぶるという発想に全く共感できない。例えばモンテクリスト伯だったら、明確に「復讐」という目標があるので感情移入しやすいけど、そういうのが無い。妻に会いに行くという動機も、既に愛想を尽かされているので、弱い》
《豪華キャストで期待してたのに、会社に嵌められて投獄されて病気の妻に会いたくて脱獄って…。色々な所にツッコミどころ満載。もう少しリアリティを求めます》

といった、厳しい声が多く寄せられている。

■第5話の“主人公が静岡への逃亡”に期待する声も

前出のテレビ誌編集者は続ける。

「しかし、狩山(木村)が裏切りで追い詰められていく展開は、終盤に大逆転するカタルシスを強調するために必要な感じもします。さらに、5月23日の第5話では一気に逃亡もの作品として面白い展開になりそうでもあって、ここからの巻き返しを期待する声もあります」

狩山の無実の証拠を持ってくるはずだった部下・南雲大樹(一ノ瀬)は、とある理由から狩山の弁護士・秋澤(斎藤)と揉みあいになり、階段から転落して意識不明の重体になった。それをニュースで知った狩山は部下との接触を諦めて、妻・玲子(天海)の「(脱獄は)1日だけ」という約束通り警察に出頭しようとするが、物語は新たな局面を迎えることになった。

そして、16日の第4話では「女子大生殺人事件」という別の事件が意味深に強調されていたが、同話のラストではその被害者の父親・半田(田中哲司/58)が狩山に接触。脱獄の際の負傷から狩山は意識がもうろうとしていく。公式サイトに掲載されている次回予告では、半田が狩山を静岡県まで連れ去り、「あんたに頼みたいことがあって連れてきた」と告げる――という展開が書かれている。

「本来、“逃亡劇”はハラハラドキドキ、見るほうからしても非常に面白いものですよね。現実でも15年ほど前に芸能人が警察に逮捕されそうになった際、まさかの逃亡を図って、連日マスコミが“どこに逃げたのか”と大騒ぎになったことがありました。芸能人は東京から西へ西へと逃亡を図り、6日間も逃げ続け、その間ずっと大騒ぎでした。

フィクションと現実は違いますが、木村さん演じる主人公が西へ逃げる――それは、手に汗握る展開となりそうな予感もしますね。

おそらく新たに登場した田中哲司さん演じる半田は、狩山を助ける代わりに、“女子大生殺人事件”に関する何かを依頼すると考えられる。狩山が逮捕された“建設途中の橋の崩落事件”と一見関係ない事件が、実は深い関係が――という、事件と事件がつながってくる大きな展開もありそうです」(前同)

ドラマ公式サイトには《まるで先の読めない異次元のエンターテインメントが、日本のドラマ史にとんでもない一石を投じます》とある『Believe』。“視聴率男”キムタクはこのままでは終われないだろう。若年層の視聴者もハラハラドキドキさせる“大逆転”展開を期待したい。

© 株式会社双葉社