「期待半分、心配半分」相次ぐ「富士山撮影トラブル」新たに報じられた“映えスポット”当事者が語る胸の内

富士山が見えないよう幕を設置する職員(写真・EPA=時事)

「まるで富士山が、コンビニのブルーの看板の上にのっているようだ」と海外で話題になり、“映え”写真を撮ろうと外国人観光客が殺到している「ローソン河口湖駅前店」(山梨県富士河口湖町)。しかし、車道へのはみ出しや無理な横断、ゴミのポイ捨て、私有地への無断立ち入りなどが問題になり、町役場はガードマンを配置。それでも改善には至らず、5月21日には富士山を見えなくするため、店と反対側の歩道に高さ2.5m、幅20mの遮光ネットの黒い幕を設置した。

「すると今度は、車道に出て撮影を始める人が続出しました。そのため、コンビニ前の道路はクラクションでカオスに。幕によじ登ろうとする外国人もいました。交通事故が起きないのが不思議です」(週刊誌記者)

このような「オーバーツーリズム」(観光公害)が問題になるなか、「もしかしたら、次は私たちの地域も」と心配する観光地も多いはずだが、5月18日に「RecordChina(RC)」が 「香港メディアの香港01は、世界遺産・富士山の美しい写真が撮影できる撮影スポット7カ所を記事で紹介した」と報じている。

RCの記事には、「『香港01』は富士河口湖町のコンビニについて『現代感に富むコンビニと壮麗な富士山による強烈なコントラストで観光客に人気の撮影スポットになったが、あまりにも大勢の人が訪れて問題になり幕で隠されることになった』と説明した」と記述されている。それを踏まえ「くれぐれも秩序を保って、よい観光客であることを心掛けてください」と注意喚起もしている。

「香港01」が紹介したのは、「階段の背後に富士山がそびえ立ち、ここから山頂まで歩いて行けそう」という「富士山夢の大橋」(静岡県富士市)、「通りの両側に昭和風の店と看板が並び、その果てに見えるのが富士山だ。とてもレトロな写真が撮れる」という「富士本町商店街」(静岡県富士市)、「巨大な赤い鳥居の柱の間から富士山がはっきり見える」ことから「富士山本宮浅間大社」(静岡県富士宮市)、「富士山を眺望できる大きな窓ガラスがある」ことで人気の「静岡県富士山世界遺産センター」(静岡県富士宮市)、「日本滝百選」のひとつにあげられる「白糸の滝」(静岡県富士宮市)、「桜と菜の花と富士山によって独特な景色がつくられる」ことから「潤井川・龍巌淵」(静岡県富士宮市)、「標高193m。広大な茶畑と富士山が撮影できるスポット」と評する「岩本山公園」(静岡県富士市)である。

今後、記事を見た観光客が多く訪れると思われるが、「富士本町商店街」の組合幹部は「最近は、外国人のお客さまが増えていることは実感しています。飲食店にもお客さまが来てくださるので、商店街としてはありがたいことですが、『富士山夢の大橋』でもゴミ問題や駐車問題が深刻になっていますから、期待半分、心配半分です」と語る。

多くの外国人が日本の素晴らしさを知ってくれるのはうれしいが、くれぐれも節度ある観光をお願いしたい。

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