【cotta tomorrow特別企画】
料理家の先生のレシピ連載。今回はなかしましほさんが登場!
スイーツやパンのトレンドから、昔ながらのおやつまで、韓国で出会った味を、なかしましほさんのフィルターを通してお届けします。
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「音楽や映画、美容など、日本でも人気が広がっている韓国のカルチャー。
お菓子やパンも、ユニークなビジュアルや、やみつきになる味など、新しい流行が次々と生まれています。 一方、体も心もほっとほぐれる、昔ながらのおやつにも魅力的なものがたくさん。
『薬食同源』といって、食べるものが健康につながるという考えのある韓国。お菓子の甘さも控えめなものが多く、伝統的な食材を取り入れたりと、体にやさしいものが好まれるのも特徴です。
この連載では、私が韓国で出会った味を、日本の家庭でも作りやすいレシピでご紹介します。お菓子やパンにまつわるエピソードとカルチャーの魅力も一緒に楽しんでください」
バターを使わないくるみのタルト
初めて韓国を旅したのは7〜8年前のこと。今も訪れるたびにカフェや喫茶店をめぐりますが、韓国に行き始めたころは、お店で見かけるお菓子は素朴なものが多く、フランスやイギリスなど欧風のものよりも、アメリカ的なお菓子をよく見かけました。
なかでも印象に残ったのが、訪れたどのお店でも見かけたくるみ(ホドゥ)のタルト。韓国ではホドゥパイ(호두파이)と呼ばれていて、タルト生地にくるみのフィリングがぎっしり詰まっています。
日本以上に、韓国ではよく食べられている印象のくるみ。ホドゥクァジャと呼ばれる一口サイズのくるみまんじゅうは、高速のサービスエリアや屋台のおやつとして昔から人気で、他にも伝統茶(茶葉ではなく、果物や薬草などをお茶に仕立てたもの)にもくるみがトッピングされるなど、親しまれています。
近ごろ韓国では「映える」華やかなスイーツを出すお店がとても増えましたが、ホドゥパイは引き続き、幅広い年代に人気の定番です。
韓国で食べたホドゥパイはバターや生クリームを使ったこっくりとした味わい。もちろん、本場の味もおいしいのですが、乳製品や卵を使わなくても、たっぷりのくるみで満足感のあるスイーツになりますよ。
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くるみのタルトの材料
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下準備
オーブンを150℃に予熱し、天板にオーブン用シートを敷く。
作り方
くるみの下ごしらえをする
【1】くるみとたっぷりの水(分量外)を入れて中火にかけ、約5分間ゆでて流水で洗います。
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POINT
くるみを下ゆですることで、えぐみがとれます。
【2】くるみを天板に並べて150℃のオーブンで10分間、空焼きをします。粗熱をとってから粗く刻みましょう。
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POINT
くるみをゆでてから、さらにローストすることで食感がよくなります。
タルト生地を作り、空焼きをする
【1】ボウルにAを入れ、ココナッツシュガーを水になじませながら泡立て器で混ぜ、油を加えてさらによく混ぜて乳化させます。
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POINT
くるみの風味には、コクのあるココナッツシュガーがよく合いますが、さとうきび糖やてんさい糖で代用しても。
【2】Bを合わせて加え、ゴムベラで粉っぽさがなくなるまで切るように混ぜて。生地ができたらオーブンを170℃に予熱します。
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POINT
生地はザクッとした粉のおいしさを引き出すため全粒粉を使い、バターではなく太白ごま油を合わせます。濃厚なくるみのフィリングとも好相性です。
【3】ラップに生地をのせ、厚さ4mm、型よりひとまわり大きくめん棒でのばします。生地を型にふわっとかぶせて敷き込み、はみ出した部分の生地を指先で取り除きます。
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POINT
側面の生地も指で縁にそっと押しつけるようにして、しっかりと全体に敷き込みます。余った生地はまとめてラップで包み、冷蔵庫へ。
【4】底全体にフォークで空気穴をあけ、170℃のオーブンで10分間空焼きをします。
POINT
空焼き後に生地が膨らんでいたら、やさしく押して中の空気を抜きます(やけどに注意)。
くるみのフィリングを作り、仕上げる
【1】小鍋にCを混ぜて中火にかけ、ときどき鍋を揺すりながら、少しとろみがつくまで約2分間煮詰めます。くるみを加え、さらにとろみがつくまで約3分間ゴムベラで混ぜます。火からおろし、オーブンを170℃に予熱しましょう。
POINT
ゴムベラでなぞったときに鍋底が見えるくらいになったら、フィリングのでき上がり。
【2】空焼きした生地にフィリングを流し入れ、170℃のオーブンで20分間、全体によい焼き色がつくまで焼きます。
POINT
フィリングの色が一段濃くなり、深い茶色になるくらいが焼き上がりの目安。
【3】焼き上がったら網(ケーキクーラー)にのせて粗熱をとります。
POINT
熱いうちは生地が崩れやすいので、粗熱をとってから型からはずしてください。
メープルシロップとてんさい糖、2種類の甘さをからめたくるみは、味に深みが出て濃厚 なおいしさが味わえます。細めにカットして、手でつまんでどうぞ。
余った生地は焼いて、おやつに。厚さ4mmにのばして好きな形に切るか型で抜き、170℃のオーブンで約15分間焼くとサクサクのクッキー風になります。
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料理・文/なかしましほ 撮影/広瀬貴子 編集/singt
PROFILE
なかしましほさん
レコード会社、出版社勤務を経て、ベトナム料理店、オーガニックレストランでの経験を重ねたのち、料理家に。2006年「foodmood(フードムード)」の名で、体にやさしい素材を使って作るお菓子の工房をスタート。おいしくて、体にもやさしい材料を使った、かわいいお菓子のレシピが人気。著書『なかしましほ ソウルのおいしいごはんとおやつ』(KADOKAWA)など。X(旧ツイッター)@nakashimarecipe
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