漬物の製造販売 6月から保健所の許可が必要 製造者や販売者は

漬物は、食品衛生法の改正により6月以降は厳しい衛生基準を満たさなければ販売できなくなります。

宮城県大崎市で開催されている古川八百屋市は、江戸時代の1604年(慶長9年)に始まったとされ420年続く伝統の朝市です。

買い物客「新鮮な野菜、餅、漬物があるからいつも楽しみに来ています」

古川八百屋市で漬物を販売している鈴木きぬ代さんです。

鈴木きぬ代さん「キャベツを千切りにしてフノリと一緒に合わせて醤油で味付けした、キャベツの醤油漬けが私のお勧めですね。地元の野菜を使っておいしく自分で手作りして、みんなに食べていただきたいというのが私のこだわりですね」

地域の伝統の味でもある手作りの漬物ですが、6月から衛生基準が厳しくなります。

多くの地域ではこれまで、各都道府県に届け出ていれば製造販売が認められる届け出制でしたが、漬物による食中毒の発生を受けて食品衛生法が改正されました。

自宅の台所とは別に専用の調理場を設け、洗い場の蛇口は手の汚れが着かないレバー式やセンサー式の物といった基準を満たした上で、保健所の許可を得る必要があります。

鈴木さんは専用の作業場に加え、新たに蛇口をハンドル式からレバー式に換えるなど300万円以上かけて整備し、2022年11月に営業許可をもらいました。

鈴木きぬ代さん「今回の改正で色々細々としたところで経費がかさんだりしましたが、八百屋市とか朝市とかでお客さんが私の漬物を待っていてくださるのを支えに、頑張ってこれからも続けたいと思っています」

仙台市宮城野区の農産物直売所では、農家が手作りした浅漬けやぬか漬け、梅干しなどが1パック200円から500円ほどで売られています。

たなばたけ高砂店佐藤健生店長「3年くらい前に比べて売り場が狭くなり、梅干しやみそももっとあったんですけどね、だいぶ少なくなりました」

手作りの漬物は店の人気商品でしたが、高齢化に追い打ちをかけるように整備費用などの負担がのしかかり、取り扱っていた農家の半分ほどが漬物を作るのをやめてしまったと言います。

たなばたけ高砂店佐藤健生店長「そういう縛りばかりが多くなって、農家にとっては面倒なんですよね。(高齢化で)これを機にみたいな農家さんがいるので、漬物の技術や味があるのにもったいないなと思いますけどね」

度々変わる制度についていけないという個人経営の農家も多く、複数の農家を集めて組織化するといった支援が必要だと話します。

たなばたけ高砂店佐藤健生店長「せっかくの味を残していけたらなっていうのはありますけどね。行政支援に今は頼るしかないんじゃないですかね」

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