NARITA THOMAS SIMPSON、“冒険者たち”による濃密な7日間 最終日はMISIAもサプライズ登場

<『NARITA THOMAS SIMPSON 冒険者たちのうた Billboard Live』オフィシャルレポ>

5月12日からスタートしたNARITA THOMAS SIMPSONのライブシリーズは、Billboard Live TOKYOで4日間、続いてBillboard Live YOKOHAMAで3日間、計7日間で14ステージという濃密なものだった。3人それぞれにキャリアと経験を重ねて結成された“新人バンド”にとって、Billboard Liveという空間はまたとない舞台となった。駆け抜けた7日間の最終日の模様をレポートとしてお届けする。

成田昭次(Gt)、寺岡呼人(Ba)、青山英樹(Dr)のメンバーを中心に、彼らのライブにはもはや欠かすことのできないピースとなったLittle Black Dressをコーラスに、そしてテナーサックス、トロンボーン、トランペットからなるホーン隊とギター、キーボードを加えた編成でスタート。

ドラムのフィルインから1曲目に披露したのは「冒険者たちのうた」。4月10日にリリースした彼らの1stアルバムのタイトルトラックだ。ぐいぐいと腕を引っ張っていくようなドラムの力強いビートが特徴的な楽曲は、まさにライブの幕開けを飾るに相応しい。

成田がアコギに持ち替えて演奏したのは「名もない愛の物語」。アルバム収録曲の中で成田が作詞・作曲した3曲のうちのひとつで、珠玉のバラード作品となっている。イントロのギターからUKロックのテイストが色濃く感じられ、イノセントな歌詞が胸を締め付ける。

MCでは、横浜育ちの青山を中心にメンバーそれぞれの横浜トークを展開。

3曲目「クライシス」、4曲目「思い出になる日まで」とアルバム収録の新曲を畳み掛ける。「クライシス」はフォークロア的な雰囲気も漂う無国籍なロックナンバーで、「思い出になる日まで」はシティポップと、NARITA THOMAS SIMPSONのバンドとしての引き出しの多さが感じられる。

続くMCでは、このライブシリーズを振り返り、出演してくれた2名のシークレットゲストについての言及があった。

5月17日と18日のBillboard Live TOKYOでの2ndステージには野村義男が、5月21日のBillboard Live YOKOHAMAでの1stと2ndステージにはGLAYのTAKUROが出演した。どちらも説明不要のスーパーギタリストだ。彼らと熱いギターバトルを展開した成田は、野村については「野村さんがいなかったらここまでギターを続けていなかった」と大先輩への感謝を示し、TAKUROへは「まさかステージで一緒にプレイできるなんて」という驚きを口にした。

5曲目に披露したのは、こちらもアルバム収録の楽曲「B・P・M!」。Little Black Dressが作詞・作曲したディスコナンバーだ。オーディエンスは総立ちになり、サビの〈B・P・M!〉では両手を使ってアルファベットをかたどったダンスで盛り上がった。メンバー紹介でのソロ回しに続いてパフォーマンスした「I♡R&R」は、NARITA THOMAS SIMPSONの3人が参加するバンド、Rockon Social Clubの楽曲。サビの〈I♡R&R〉を横浜にちなんで〈I♡シューマイ〉に変えて歌唱。オーディエンスはさらに勢いを増して盛り上がった。食事やドリンクをテーブルで愉しみながら音楽に浸るBillboard Liveではあまり見られないようなライブハウス的光景が新鮮でもあった。

切ないメロディが特徴的な「花火と君」で本編を締めると、アンコールは「いっぽんみち」からスタート。MCではなんと、この日もシークレットゲストがいると告げると会場が騒然とした。

「昨日の夜中に急遽決まったんです。おれたちのクイーン!」と言って呼び込んだのは、MISIA。オーディエンスからは悲鳴に近い歓声が飛ぶ。

「最終日を皆さんと一緒に楽しませていただきたいと思ってやってきました!」(MISIA)

「皆さん、『紅白歌合戦』は見てくれましたか?」と寺岡がオーディエンスに問いかけて始まったMISIAとのセッション曲はもちろん「傷だらけの王者」。Rockon Social Clubとのコラボ曲だ。

そして最後に披露したのは、まだレコーディングもしていないというRockon Social Clubの出来立ての新曲「ポイントちょーだい」。曲間ではMISIAのアドリブと成田のギターソロのバトルが炸裂。7月6日・7日に開催されるフェス『PEACEFUL PARK 2024 for 能登 -supported by NTT docomo-』にも出演する両者の共演が楽しみになった。

アルバムリリースからBillboard Liveでの濃密なライブシリーズを経て、NARITA THOMAS SIMPSONの冒険者として描く軌跡がどんなものになるのか、次なる続報を楽しみに待ちたい。

(文=谷岡正浩)

© 株式会社blueprint