宮川大助・花子、闘病と老老介護の日々を包み隠さず語った新著 二人のこれからに勇気をもらえる

2024年6月28日(金)に、宮川大助・花子著『なにわ介護男子』(主婦の友社)が発売される。完治しない血液のがん・多発性骨髄腫の診断から5年。宮川花子の闘病とそれを支える大助。二人の闘いと老老介護の日々を包み隠さず語る。

宮川花子が余命半年の宣告を受けたのは2018年。2019年には多発性骨髄腫と診断され、その年の終わりに記者会見で自らの病気を公表し、世間を驚かせた。2022年春には寛解状態になったが、秋には抗がん剤の副作用で肺に水がたまり、心肺停止寸前に。多発性骨髄腫は完治するのが難しい病気のため、闘病が続いている。

本書は終わりのない病と、宮川大助、花子が、何を考え、どう二人で闘ってきたのかをありのままにつづった記録。厳しい病状も大変な介護やリハビリもユーモアに変えてしまうのは日本の夫婦漫才を引っ張ってきた二人ならでは。

夫が妻の介護をすることは少なくないが、実際はどんなことをしているのだろうか。毎日決まったタイミングに服薬させる、点眼する。姿勢を変える、おむつを替える。身体を拭く。入浴させる。トイレに連れて行く。便秘の時は自らの手で摘便をする。毎晩、自らが脊柱管狭窄症で腰が痛いのにも関わらず、ベッドの隣に布団を敷いて常に臨戦体制で寝ている。これらは大助がいつもしていることばかり。

長年連れ添った夫や妻であっても、下の世話に抵抗がない人は実は少ないのではないかと思う。赤ちゃんと違っておむつ替えをするにも大人の身体は大きく、おむつも大きい。排泄物の量も違う。大助の場合は摘便まで。摘便には抵抗感がないばかりか、それで花子が楽になると安心するのだと言う。どれだけ花子を愛しているのか、その大助に花子が心から感謝していることがよくわかるエピソードも満載。そしてクスリと笑える。

宮川花子や俳優の佐野史郎、元官僚の岸博幸が多発性骨髄腫であることを公表しているが、まだまだよく知られていない病気。若い人の発症はまれだが、高齢になると発症頻度が高くなり、もっともかかりやすくなるのは60代後半。完治するのは難しい病気だが、いい薬も出てきている。だからあきらめないで欲しいというのが大助と花子の気持ち。

今回、この多発性骨髄腫のことをもっと知ってほしいということで、花子の主治医を務めた、奈良県の南和広域医療企業団・吉野病院院長・天野逸人先生に、病気のこと、患者としての花子、患者家族としての大助について語ってもらった。

二人は花子の体調をみながら、なんばグランド花月や御園座、大須演芸場などの舞台に出演し、「笑点」や「桂文枝の演芸図鑑」などのテレビ・ラジオ出演も果たしている。一時はセンターマイクに立って舞台で漫才をすることを希望していましたが、いまは椅子に座り、新たな大助・花子の漫才をスタートさせている。

書籍のカバーイラストは、箸や編み棒を持つことも叶わなかった花子が時間をかけて描いたもの。帯のコメントは同じ多発性骨髄腫と闘う俳優の佐野史郎。同じ病気の人だけでなく、いま病に苦しんでいる人とそれを支える人に勇気を与えてくれる内容なので、ぜひ一読してみよう。

最後に花子からメッセージ。「大助くん(夫)に感謝を込めて。介護のありがたみをみなさまにお伝えできたら、と思います! ぜひみなさん手に取ってくださいまし!」

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