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2022年8月の大雨被害の影響で運休が続くJR津軽線・蟹田-三厩間(28.8キロ)について、沿線4市町村と青森県、JR東日本、国が23日、鉄路の廃止とバス、タクシーへの転換で合意した。廃線に反対してきた今別町の阿部義治町長が同日の沿線首長級会議で鉄路復旧を断念し、JR東が提案する新たな交通体系の協議に応じる意向を表明。小谷知也副知事もバス、タクシー転換を容認する考えを示した。関係者は今後、新たな交通体系の導入に向けた具体的な議論に移る。
青森市のアスパムで同日、第3回首長級会議が開かれ、外ケ浜町と青森市、蓬田村を含む沿線4市町村の首長らが出席した。
阿部町長は「個人としては今でも鉄路復旧の気持ちはあるが、鉄路にこだわり続けても議論が進展せず、町や沿線のためにならない。苦渋の決断をした」と説明。JRの提案を容認する県の考えを受け、町議や町民と意見交換を重ねた上で復旧を断念したとした。
県はこれまで存廃の姿勢を明らかにしていなかったが、小谷副知事は会議で阿部町長の発言に先立ち、「地域交通の確保のために鉄路廃止はやむを得ない。(バス、タクシーの)自動車交通への転換を容認したい」と明言。バス、タクシーに転換した場合、鉄路より運行本数が増えることや、JR東がNPO法人を設立して自治体と共同で運営を担うことを「交通の確保につながると前向きに受け止めた」と述べた。
JR東は今後、合意内容を書面で取り決めるほか、国への申請など鉄路の廃止手続きや新たな交通体系に関する自治体との協議を進める予定。鉄路の廃止時期は未定という。
蟹田-三厩間の存廃を巡っては外ケ浜町がJR東の提案に賛成する意向を表明する一方で、今別町が同社の全額負担による鉄路復旧を主張し、議論が停滞していた。
JR東は22年7月、ローカル線の在り方に関する協議を沿線自治体と進めるため、利用者減が顕著な路線の収支を初めて公表。これ以降、同社管内でバス、タクシーへの転換で合意するのは津軽線が初めてという。