【阪神】「強いチームは面白くなくなる」直近9試合中7試合が2得点以下…それでも勝つ理由

首位攻防カードを勝ち越した阪神・岡田監督

阪神は24日の広島戦(マツダ)に2―1で辛勝。首位攻防カードを勝ち越し、2位・広島との差を2・5ゲームにまで広げた。

前夜22日の同カード2戦目に続き、この日も最終盤の9回に一死一、三塁と一打出ればサヨナラの大ピンチを迎えたが、何とか切り抜けた末に薄氷の勝利。胃が痛むような試合展開ばかりが続くが、気が付けば4カード連続の勝ち越しとなり、貯金も今季最多の7とした。

チームは直近9試合で6勝3敗。だが白星リードの半面で、そのうち7試合は2得点以下しか挙げられていない。マークした本塁打にいたっては僅か1本のみ。投打の主力である青柳、伊藤将、佐藤輝は成績不振で二軍調整中とチーム状態はどう見ても万全ではないが、接戦での勝負強さがとにかく際立つ。

この日も3回無死満塁、さらに5回無死一、二塁、そして9回一死満塁とそれぞれチャンスを迎えながら打線はことごとく無得点に終わった。残塁数は敵軍を大きく上回る11。試合後の岡田彰布監督(66)も「普通やったらやられるパターンやけどな。あんだけチャンス潰したらの」とヘトヘト顔を浮かべながらボヤいた。

それでも〝代打の代打〟ミエセスが先頭打者として四球で出塁した7回には中野の内野安打に加えて敵失も絡み、森下の犠飛で貴重な2点目を渋くゲット。このイニングで僅か1安打からたたき出した得点が結局勝敗を分けた。

岡田監督はキーポイントとなった7回について「そらこの回は打順が上位に来るからな。そんな1―0で逃げ切るなんか無理よ。エンドランでもかまさんとなかなかな」と振り返り、代打、代走などサブメンバーを惜しみなく投入した攻撃について説明。この日も巧みなベンチワークが奏功した格好だ。

「強いチームになってくる方が面白くないチームになるよな。見ててな。打つチームのほうが面白いもんな」とは、今季開幕前に岡田監督がこぼした言葉だ。

どこかの常勝チームのように、1試合だけで21得点もすることはできない。現状でタイトル戦線に絡む選手も少なく、ここ一番の爽快な長打もあまり記憶にない。胃薬が手放せないロースコアの接戦ばかりが続く。

昨季のチャンピオンチームのここまでの戦いぶりは、虎党が期待した通りの〝面白い〟ものではないかもしれない。それでも今季の岡田虎は何だかんだで渋く勝ち続けている――。

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